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こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
あと3日で令和3年も終わりですね。
東京オリンピックが開催されたのが、遠い昔のように想われます。
昨日は、とある営業の方がアポ無しで来られて、暦占いの本をいただきました。
私は「四緑木星」。来年は、「結実」=◎ということで、事務所経営が上手くいくといいなぁー、なんて思っております。
さて、今回は、今年最後のブログ。
既に、様々な方がネットで記事にしている「インボイス制度」について。
1回限りでなく、今後も何度か記事にしていきたいと思っていて、今回は、インボイス制度が導入された背景などについて書きたいと思います。
インボイス制度。正式名称は、適格請求書等保存方式と言い、令和5年10月からの導入。
この制度が導入されると、これまで発行した請求書に「登録番号」を記載することとなります。
な~んだ、登録番号を記載するだけなんだ!?
いえいえ、「登録番号」を記載した請求書でなければ、消費税の仕入税額控除を受けることができなくなります。
事業を大別すれば、B to BとB to Cがあるわけですが、C=一般消費者は課税事業者になることは無いので、登録番号を発行する必要はないので、小売業の方は、あまり影響を受けないと思います。
一方、B to B=事業者間の取引をメインにされている方は、インボイス制度の影響を全面的に受けることとなります。
なぜこの制度が導入されたか、私的には、
1.取引の透明化
2.益税問題の解消
の2点だと思っています。
現在は、帳簿方式が認められていて、領収書等が無くても、帳簿に所定の内容を記載していれば、仕入税額控除が認められています。
その場合、悪知恵を働かせて、「架空の経費」をでっち上げようと思えば出来るわけです。いわゆる脱税ですね。
インボイスが導入されると、登録番号は、専用サイトで実在するかどうか確認できますので、こういった不正を防ぐことができるようになります。
現在は、売上が1000万円未満であれば免税事業者となり、消費税を申告する必要がありません。
免税事業者であっても消費税を請求しています。支払う側は、相手先が免税事業者かどうかわかりませんから、請求されれば支払っているわけです。
とすると、免税事業者は、受け取った消費税分が利益になるわけで、これが「益税問題」ということで、過去から指摘されてきました。
インボイスが導入されると、取引先は、仕入税額控除を受けるため、免税事業者に対しても、登録番号を記載した請求書を要求してきます。
登録番号の発行は、免税事業者のままだと出来ません。課税事業者になる必要があるのです。
課税事業者になれば、消費税申告をする=消費税を払う必要があり、「益税問題」が解消されるというわけです。
上記「2.益税問題の解消」は、大きな問題をはらんでいます。
免税事業者が、取引先からインボイスの請求書を発行せよと言われたたら、「登録番号」を申請(=課税事業者に自動的になる)しなければなりません。
もし、免税事業者が、その要求に従わなければ、取引先は「それならアンタとの取引は止めることにする」又は「インボイスを発行しないなら、消費税分値引きしろ!」と言われかねません。
免罪事業者にとって、インボイス制度の導入によって「板挟み」状態に追い込まれてしまうかも。
その弊害を予知!?して、経過措置が設けられています。
登録番号を記載していない請求書であっても仕入税額控除を認めるというものです。
・ 令和5年10月1日から令和8年9月30日まで・・仕入税額相当額の 80%
・ 令和8年10月1日から令和11年9月30日まで・・仕入税額相当額の 50%
うーむ、経過措置だけで、この問題は解消されるのでしょうか。
私は、単に税金だけの問題ではなく、経済取引の問題に発展する可能税を秘めていると危惧しています。
昔は、大工さんなど建築・建設にかかわる職人さん(下請け業者)が多くおられて、確定申告の時期、沢山の方が相談にやってきていました。
そういった方は、インボイス制度が導入されれば、一番打撃を受けることとなり、「もう商売を止めよう」という人も出てくるかもしれません。
少子高齢化で、職人さんが減ってきているというのに・・。
まだまだいろんな問題が内在しているインボイス制度。
シリーズ化して、またお伝えしたいと思います。
それでは、今年最後のブログを読んでいただきありがとうございました。来年もどうかよろしくお願いいたします。