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★電子帳簿保存法の改正って、岸田政権の「聞く力」の成果!?

こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

昨日のブログで、今年最後としていましたが、国家公務員の御用納めの日(12月28日)に、国税庁から「電子帳簿保存法」の通達等の発表がありましたので、急遽、ブログを更新することといたしました(汗)



省令の改正


令和4年度税制改正大綱で、電子帳簿保存法について宥恕規定を設けることが示されました。

これに伴い、令和3年12月27日、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令」が公布されました。(施行は令和4年1月1日)


内容的には、要は「やむを得ない事情があるときは、電子データによる保存に代えて、そのデータを出力したものを保存しても差し支えない」というもので、2年間の宥恕(令和5年12月31日まで)が認められています。



通達とQ&Aも改正


国税庁のホームページで発表されています。


・ 「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/kaiseir031227/index.htm

・ 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和3年12月)

https://www.kinzei.or.jp/wp/wp-content/uploads//2021/12/0021006-031_03.pdf


今回の改正で、「やむを得ない事情」について、どういった事情まで認められるのかが心配されていました。あくまで例外的な取扱いですから。

しかし、今回の「一問一答」を読んでみると、非常に柔らかい!?取扱いになっているのがわかります。


問41-2 当面、電子取引の取引情報に係る電子データ保存への対応が間に合いませんが、

どのような対応をすればいいでしょうか。


【回答】

令和4年度税制改正で経過措置として整備された宥恕措置を踏まえ、令和5年 12 月 31 日ま

でに行う電子取引については、保存すべき電子データを書面に出力して保存し、税務調査等の

際に提示又は提出ができるようにしておいていただければ差し支えありません

なお、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については要件に従った電子デー

タの保存が必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。



なぜ2年間の宥恕となったのか?


ここからは私の推察ですが、2年先って、何が予定されていますか?

正確には、2年のちょっと前(3か月前)⇒令和5年10月)

そうなんです、消費税のインボイス制度が導入されます。


どういう関係があるかというと、現在、政府(デジタル庁)では、「電子インボイス」の導入を検討しています。B to Bの取引については、インボイスのやり取りを電子化することで、制度の定着、業務の効率化を狙っています。


電子インボイスこそ、全くペーパレスになるわけで、それを保存してもらう環境整備のために、今回の電子データ取引については義務化されたのだと思われます。


いずれにしても、宥恕の2年間で、電子データが保存できるように準備しておく必要がありそうです。



国税経験者からひと言


前回の電子帳簿保存法のブログ記事(★電子帳簿等保存法(電子取引データの保存義務化)は、2年間猶予で解決するの?)では、「やむを得ない事情があるときは税務署長の承認が必要」と記載しておりましたが、今回の改正で承認が省略されていますね。

一問一答を読んでみると、

「やむを得ない事情の有無や出力された書面については、必要に応じて税務調査等の際に確

認することとしており、事前に税務署への申請等をすることは必要ありません。」

となっています。


この取扱いは当然だと思います。

現在の日本のICTの発展状況や経済取引の実情を踏まえれば、電子データ保存の義務化は早急過ぎたのは明らか。

その責任を納税者に押し付けるようなことをしてはいけないと思います。

これって、菅政権から岸田政権に変わり、「聞く力」による成果でしょうか⁉


とりあえず、2年間のインターバルが設けられましたが、2年先、日本のICT事情はどうなっているのでしょうねぇ・・。ちょっと心配です。

2021-12-29 (2)