【お問い合わせ】 E-mail:nog-tax@grupo.jp |
こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
前回のブログでもお話しましたが、現在、納税協会等で開催するセミナーで講師をやらせていただいてます。
特に、電子帳簿等保存法については、法律よりも、実際どのように対応すれば良いのか戸惑っている納税者の方が多いように思われます。
令和6年1月から適用される「改正電子帳簿等保存法」では、電子取引データについては、「紙」ではなく電子データのまま保存する義務が発生します。
また、税務当局の「ダウンロードの求め」に応じる必要もあることから、保存した電子データを検索できるようにしておく必要も生じます。
検索要件としては、取引年月日、取引金額、取引先がわかるようにしておく必要があり、国税庁では、「ファイル一覧表」の作成、又はファイル名を変更(取引金額等を記載)する方法を推奨しています。
このため、セミナーでは、フリーソフトを活用した「ファイル一覧表」の作成方法などを紹介させていただいてきましたが、いかんせんフリーソフトなので、使い勝手が悪い・・・。
そこで、私の全知全能を投入し⁉、エクセルによる「ファイル一覧表」作成システムを開発いたしましたので、ご紹介したいと思います!
FLMS「ファイル一覧表作成システム」.xlms を起動した画面は、次のとおりです。
(FLMS = File List Makinng System の略です。)
この画面上部にある「ファイル検索」ボタンを押下すると、ポップアップ画面が表示されますので、ファイル一覧表を作成したいフォルダを選択します。
フォルダを選択すると、瞬時に、フォルダ内にあるファイルの、ファイル名、ファイル年月日、保存先を取得した一覧表が、新規ファイルとして作成されます。
いかがでしょう⁉
「ファイル名」は保存先とリンクさせているので、クリックするとファイルの内容が表示されるようにしています!
なお、「ファイル年月日」は、ファイルのプロパティの「更新日時」から取得しています。
【追記(バージョンアップ)】
「保存先」欄にもリンクを貼るようにしました!
各ファイルの保存先をクリックすると、そのフォルダ内にある全てのファイルが表示されるようになりました。
各ファイル名をクリックして、ファイルの内容を確認しながら、取引年月日、取引金額、取引先を入力します。
取引年月日は、「ファイル年月日」と同じであれば、セルをコピーすれば良いですし、取引先ごとにフォルダを作成しているのであれば、「取引先」の入力は省略しても良いかと思います。
入力が終われば、任意のファイル名で保存します。
※保存したファイルは、別のフォルダ等に移動しないでください。保存場所を変更するとリンクが切れ、一覧表に登録されたファイルの内容が表示されなくなります。
会社によっては、取引先や取引区分ごとにフォルダを作成するケースも想定されます。
その際、フォルダごとに一覧表を作成しておき、そのファイルを合算(コピペ)した「総括表」を作成しておくと良いでしょう。
それを作っておけば、複数のフォルダに保管している電子取引データを速やかに検索できるメリットがあると思います。
※ サーバーやクラウドをご利用の方は、電子取引ファイルを一定の場所(フォルダ)に集約した上で「総括表」を作成しておけば、社員間で情報共有が可能となります。
以上、私が開発したシステムの紹介でした。
私自身、DX-税理士を目指しているので、これぐらいは、作れなくてはいけませんよね(笑)
※現在、私が講師をしているセミナーで、このシステムを無料配付しています。もし、機会があれば、セミナーにご参加いただければ幸いです。
※利用にあたっての留意点
・ ダウンロードしたファイルについては、Windows上でセキュリティ(ブロック)を解除する必要があります。
・ ファイルを右クリックしてメニューを表示し、「プロパティ」をクリックして下さい。
・ プロパティが表示されるので、最下段に表示される「セキュリティ」の右側にある「□ 許可する」にチェックを入れ、OKボタンを押します。
・ 以上で、ご自身のパソコンで、システムを利用できるようになります。
こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
2週間ぶりの更新となります。
今週は、セミナー講師を2回やりました。
一つは、納税協会の「インボイス制度と電子帳簿等保存法」
当初2回のセミナー開催を予定してましたが、受講希望者が殺到し、都合7回、1月までセミナーを開催することとなりました。嬉しい悲鳴⁉
セミナー終了後に多くの質問を受けておりまして、その内容を、セミナーの資料に取り込みバージョンアップしています。
電子帳簿等保存法にご興味のある方も多いですね。
もう一つのセミナーは、出身大学である関西大学の会計職専門大学院(梅田キャンバス)での講義。
「個人課税の論点」として、こちらは所得税の有名な判例を紹介して、グループ討議を行いました。
競馬の馬券払戻しの課税関係など、身近な話題を中心とした講義で、それなりに所得税についてご興味を持っていただけたかなと思っています。
さて、この「インボイス制度」のブログ。前回はラス前、今回で終了を思っていましたが、納税協会のセミナーでのご質問が多かった内容を含めて、あと2回ぐらいはブログにアップしたいと思います。
今回は、消費税の端数処理。インボイス制度では、取扱いが変わりますので、要注意です!!
国税庁のQ&Aの解説を見てみると、
適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。
なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます。
(注) 一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません。
と解説されています。
(ポイント)
○ 現行の区分記載請求書では、消費税額が記載事項になっていないため、端数処理のルールは定められていなかった。
○ 一方、インボイス制度では、端数処理のルールが定められ(一のインボイスにつき、税率の異なるごとに1回)、税率ごとに合計した対価の額に税率を乗じて消費税額を求めることになる。
○ これまで、レシート等で「明細行」ごとの端数処理を行っている場合には、システムを改修する必要も。
次の記載例を見ていただくとわかるとおり、1円単位で消費税額が変わってしまいます。
業種によりますが、例えば、スーパーが飲食店に食料品等を卸していて、配達の都度、消費税を記載した「納品書」を渡すとともに、翌月、ひと月分の取引金額を記載した「請求書」を発行している場合があります。
この場合、納品書が「一の適格請求書」=インボイスとなると国税庁は言っています。なので、月次請求書は、インボイスになりません。
その月次請求書に基づいて会計処理を行った場合、やはり端数処理の関係でズレが生じてしまうことがあります。
請求書発行システムと会計処理システムが一体となっていれば、ズレは生じないのですが、そのようなシステムを導入しているケースは少ないと思われます。
この点について、財務省担当官が参加した座談会で「ひと月分の請求書で会計処理を行った消費税額でも認められる」と話されていますが、国税庁HPでは正式なコメントを発表していません。なので、今後、Q&Aに掲載されるかどうか注視していきたいと思います。
インボイス制度は、ヨーロッパで導入され、それをベースに日本で導入されようとしています。
ただ、上記の「納品書 + 月次請求書」といった事例は、日本独特の商慣習であり、インボイス制度を定着させるためには、今後、業種ごとの取引実態に沿った取扱いをQ&A等で公表していく必要があると感じています。
次回は、私がセミナーの講師をやっていて、「特に多い質問」を紹介したいと思ってます。
乞うご期待⁉