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こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


令和5年(2023年)も、残り僅かとなりました。

この1年、いかがでしたでしょうか?


1年を振り返ってみますと、インボイス制度の導入、38年ぶりの阪神日本一など、印象的な1年だったような。

そういえば、今年の漢字は「」でしたね。


私自身、今年は、税理士業務だけでなく、自身を磨くために次の機関に応募し、採用されました。

・ 近畿税理士会「近畿税務研究センター」研究員

・ 日本税理士連会「デジタル相談室」相談員

・ 近畿税理士会「業務デジタル化相談室」相談員


「近畿税務研究センター」では、消費税チームに属し、分担して論文を書かねばならず、私の分担は「デジタルインボイス」(汗)

現在、資料集めをしているところなんですが、まずは、「消費税って、どのように導入されたのか?」という点を押さえておく必要があると思い、ネットで関係資料を検索!


沢山の論文が見つかりましたが、その中で一番興味を引いたのは、

財務省に設置されている「財務総合政策研究所」

のホームページでした。

そのHPには、膨大な財務省や税制改正の歴史が掲載されていて、消費税の導入に関して非常に参考になる情報がありましたので、今年最後のブログとして紹介したいと思います。

もし、お時間ありましたらお正月にでも、資料をお読みいただければ幸いです。



財務総合研究所「財政史」を読む!


いろんなキーワードでWEB検索して、引っかかったのが財務総合研究所の「財政史」でした。

財務総合研究所のHPから、この「財政史」は見つけにくいです。

階層は、

トップページ > 刊行物 > 財政史等 > 財政史

https://www.mof.go.jp/pri/publication/policy_history/index.htm#07

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ここには、明治から平成12年までの財政や税制の歴史が克明に記載された資料がアップされています。

例えば、

 『平成財政史-平成元~12年度』は全12巻で、そのページを開いてみると、次のようになっています。

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その中に「租税」の項目がありますので、それを開く(ダウンロードする)ことができ、大平内閣の「一般消費税」、中曽根内閣の「売上税」、そして竹下内閣「消費税」の導入までの経緯が克明にー少しドキュメンタリー風にー記載されています。



当時の主税局長 尾崎護氏の回顧録が泣ける!


資料をダウンロードして、画面上で、ザーっと読んでみました。

国内に「新しい税」を導入するのは、並大抵の努力では実現しなかったのだなぁ~というのが私の感想です。


消費税導入反対の運動に伴う、業界団体への根回し、市民との対話集会の開催などなど、当時の政治家、財務省、国税庁は、相当苦労したのが分かります。


その中で、とても印象的だったのは、当時の主税局長である尾崎護氏の「回顧録」です。こういうエピソードが「財政史」に掲載されているのが素晴らしいと思いました。

では、以下、その発言を紹介させていただきます。


「ほんとうに頭の中は消費税の実施でいっぱいでした。というのは、世の中は、きっと 4 月 1 日に大混乱が起こるだろう。ということを予測していたわけですね。おそらくスーパーのレジの前では大行列ができるであろう。あるいは百円玉 1 つ持って、鉛筆 1 本を買いに行った子供たちが103円だと言われて買えないで泣いて帰って来るだろうというようなことが、ほんとうにまことしやかに書かれたり言われたりしてたんですね。今から考えるとほんとうに噴飯物なんですけれども、そういうことにいちいち答えていかなければならないということが、我々の非常に辛かったところなのです」


「翌日、夜が明けてから、今度は横山町やら浅草やらに行ってみました。いろいろなところをのぞきまして、浅草で傘を 1 本買いましたら、その正札のとおりの値段なんですね。 3 %を取らないんです。それで「 3 %、いいの? 」と聞いたんです。そうしたら、その傘屋のおばさんが「これはまだ消費税がつく前に仕入れた分ですからいいです」と言ったんですね。ほんとうに日本の事業者のレベルというのは高いなと。そんなに慌てふためいてもいないなという印象をますます強く持ちました。」


「あんなに心配だったことはほんとうにないですね。

それで、薄井君〔薄井信明、当時主税局審議官〕と一緒に六本木のコンビニでしたかね。今で言えばコンビニですね。そこに行きまして、11時50分ごろに行きまして、店の中をぶらぶらして時間をつぶして見ている。そうしたら、午前0 時直前になったら、レジのふたをあけて、何かちょこちょことやったんですよね。また、ぽんと閉めて、 0 時を過ぎた途端に、私が、あれは歯ブラシだったと思いますけれども、 1 本持って買いにいったんですね。そうしたら、領収書にもうちゃんと 3 %ついているんですよ。「早わざだね」とレジの男性に言いましたら、彼が「いや、こんな小さなレジスターでも、いろいろな機能がついていて、こんなのは何でもないんですよ」と言って、さっきソフトを入れかえただけですと言うんですね。今までのあの騒ぎは一体何だったんだという感じでしたが、それと同時に、ほんとうにほっとしたのを覚えています。」


尾崎護氏は、昭和63年から3年間主税局長を務められ、令和3年:国税庁長官、平成4年:大蔵事務次官まで上り詰められた、正しく「消費税の生みの親」だと思います!



編集後記


私は国税OBなので、尾崎さんのご発言に「うんうん」と、凄く感動してしまいました。

平成元年4月に導入された消費税も35年が経過。

今や、軽減税率やインボイス制度まで導入され、導入時に議論されていた欧州型消費税(VAT)に近い形にまで成長したと思います。


今年は、これでブログは終了いたしますが、これまでお読みいただいた皆様に感謝いたしますとともに、良いお年をお迎えいただきますことをお祈り申し上げます。

では、来年もよろしくお願いいたします。




こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


長い間、ブログを更新しておらず、申し訳ございませんでした。

気が付けば、もう今年も1か月を切り・・・。

月日の経つのは早いもんですね。


さて、年が明けると確定申告。

税理士にとっては、繁忙期に入ります。

年末までには、今年の所得を計算して、ふるさと納税を考えておられる方も多いのではないでしょうか?


そこで今回は、そのふるさと納税の上限額、つまり、2,000円出せば商品をGETできる寄付額の上限額は、どのように計算すれば良いかを解説したいと思います。


「さとふる」などのHPで、シミュレーションできるわけですが、土地等を売った方は分離課税で申告する必要があり、その場合の上限額の計算は対応していません。

そこで、そもそもの計算は、どのようになっているのか調べてみることにしました。(税理士である私でも、これまで詳しく調べたことはなく・・。(^^;



ふるさと納税に係る「寄付金控除」の概要


市町村のホームページで、ふるさと納税の概要や上限額について、詳しく説明がされていて、その内容を、そのまま紹介させていただきます。

ふるさと納税に係る寄附金控除は、以下の順でそれぞれ控除され、寄附金額が上限額を超えない場合は2,000円を超える部分の全額が所得税と住民税から控除されます。

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※ 所得税の税率は、原則として所得税の総合課税に係る税率(5%~45%)で計算します。ただし、申告分離課税(土地・建物等の譲渡所得、株式等の譲渡所得など)のみで課税される場合は、申告分離課税に係る税率で計算します。

※ 上記(3)における所得税の税率は、住民税の課税所得金額(所得金額から所得控除を差し引いた金額)から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた税率であり、上記(1)の税率と異なる場合があります。

※ 住民税所得割額は、住民税の課税所得金額に税率(総合課税の場合、市民税6%・県民税4%)を乗じて算出した金額から調整控除額を差し引いた金額をいいます。なお、調整控除以外の税額控除 (配当控除など)がある場合は、当該控除を差し引く前の金額になります。


(筆者注釈)

・ 気を付けないといけないのは、分離課税のみの場合は、その税率で計算。総合課税と分離課税がある場合は、総合課税に係る税率で計算する点に注意が必要です。

・ 所得税と住民税では、所得控除額が異なります。例えば、配偶者控除は33万円、基礎控除は43万円など、所得税と比べ5万円少ないので、それを考慮して「住民税所得割額」を計算する必要があります。



ふるさと納税の上限額を求める計算式


上限額の計算式についても、市町村のホームページから紹介させていただきます。

上記(3)住民税特例控除の上限額が、住民税所得割額の20%のため【住民税特例控除額(※(3)の計算式)=住民税所得割額×20%】のとき、2,000円を超える部分が全額控除となる寄附金の上限額となります。


寄附金の上限額を「X」とすると【(X-2,000円)×(90%-所得税の税率×1.021)=住民税所得割額 ×20%】の計算式となり、これを上限額「X」を求める式に直すと、次の計算式により上限額を求めることができます。


X=個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税の税率×1.021)+2,000円


所得税の税率は、課税所得金額に応じて段階的に分かれているため、上記計算式は課税所得金額の階層ごとに次の表の計算式に置き換えることができます。


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(筆者注釈)

・ 上記のように、表が二つに分かれています。総合所得と分離課税がある場合は、上の表で計算。分離課税のみの場合は、下の表で計算するということになっています。

・ 上の表と下の表で、随分税率が異なりますが、そういう法律の建付けになっているようです。



詳細計算シミュレーターを見つけました(汗)


ここまでブログを書いてきて、分離課税にも対応したシミュレーションをしてくれるホームページが無いか検索してみると、あぁぁ、ありました、ありました!

それは、楽天市場のふるさと納税専用サイトです。


楽天 詳細シミュレーター

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こんなのがあったとは・・。

このブログの前半で紹介した計算式は、意味が無くなりましたね、、



編集後記


私も毎年、ふるさと納税をしていて、楽天市場の専用サイトを利用しています。

楽天市場を利用するメリットは、期間限定で「お買い物マラソン」が開催されていて、それにエントリーすると、複数の市町村でふるさと納税を行うと、楽天ポイントが1倍ずつ加算(最高10倍)されるので、ポイント分お安く購入できます。


さて、いよいよ令和5年も終わり。

年が明けますと、年末調整、源泉納付、法定調書、支払調書、そして所得税・消費税の確定申告と、矢継ぎ早に処理をこなしていく必要があります(汗)

年内に、あと一回はブログを更新できるかな・・。

いずれにしても、来年もよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください♪