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【確定申告で誤りやすい事項】配当所得に係る住民税

新年明けましておめでとうございます。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


もう1月の中旬。

いよいよ確定申告が始まりますね!


その前に、徴収高計算書、法定調書、給与支払報告書、更には、償却資産の申告と、矢継ぎ早に事務処理をこなしていく必要があり、税理士にとって、1月は超繁忙期と言えます。


さて、今回は「小ネタ」となりますが、令和4年度の税制改正(令和5年分から適用)を踏まえ、確定申告の際に誤りやすい事項を紹介したいと思います。


私は株を保有していて、毎年、配当所得を申告していますが、住民税の取扱いが変わりましたので、注意する必要があります。



改正前の取扱い


配当所得については、これまで、所得税で総合課税、住民税で申告不要制度を選択するなどの方法が可能でした。


具体的には、以下のような取扱いとなっていました

(対象となる配当所得)

所得税及び復興特別所得税15.315%と県民税5%(配当割・株式等譲渡所得割)の合計20.315%の税率で源泉徴収(特別徴収)されている上場株式等の配当所得が対象となります。

※ 非上場株式の配当所得等は対象外です。


(課税方式の選択)

A又はBいずれかの方法によります。

A.確定申告書の第2表の住民税・事業税に関する事項の特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要の欄に〇を記入して確定申告を行う。

B.住民税の申告書に「上場株式等の所得に関する住民税課税方法選択の申出書」及び収入関係書類(特定口座年間取引報告書や支払い通知書等の写し、確定申告書の控えの写し)を添付して提出する。



令和5年分以降の取扱い


令和5年分からは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することはできなくなりました。


具体的には、

上場株式等の配当所得等に係る個人住民税の課税方式の選択をすることができなくなり、所得税の確定申告書を提出した場合には、住民税の申告書も提出されたものとみなされ、所得税と住民税とで同一の課税方式(申告不要又は総合課税若しくは分離課税)となります。


・申告不要制度

少額配当(1回あたりの配当が年ベースで10万円以下のもの)について、所得税の確定申告を不要とする制度です。

※ 改正前は、住民税については申告が必要でしたが、国税の取扱いと統一されました。


・分離課税制度

ほかの所得金額とは分離して税額を計算し、確定申告によって納税する課税方式



改正後の留意点


改正前までは有利な課税方式を、所得税・住民税のそれぞれで選択できました。

しかし、改正後は所得税・住民税を単体で考えると、税額や保険料の負担が増える可能性があります。


具体的には、

・ これまでは、課税所得金額が900万円以下なら総合課税(配当控除適用)が有利でした。

・ 令和5年分からは、

>課税所得金額が695万円以下の場合は、総合課税(配当控除適用)が有利

>課税所得金額が695万円超の場合は、申告不要が有利

になります。


また、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料について、影響が出てきます。

ある市役所のホームページの説明を記載しておきます。

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※株式や配当などを申告することにより懸念される影響

① 上場株式等の譲渡所得等や配当所得等を申告した結果、見込まれる住民税上の還付分や減額分よりも、国保税の増額分が上回る場合があります。

② 国保の給付関連(高額療養費計算や限度額適用認定証等)の自己負担額についても増額となる場合があります。

③ 70歳以上の方は、医療費の自己負担割合の判定対象に含まれるため、医療費の自己負担額についても増額となる場合があります。

④ 65歳以上の方の介護保険料については、取り扱いが異なります。詳細は長寿福祉課へお問い合わせください。

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編集後記


いかがでしょうか、今回の改正で、保険料まで影響するとは思いませんでした。


まぁ、今年から新NISAが始まり、配当所得も非課税となりますので、その制度を利用する方が良いかもしれません。

ただ、現在保有している株を、新NISAに移管することはできないので、一旦、株を売って、新たに新NISA口座を開設して株を買い直さないといけませんが・・。


いずれにしても、税制改正は、「税」だけでなく、他にも影響が出ると。。。

お気を付けいただければ幸いです。


ということで、今年も、税金等に関する有益な情報を発信していきたいと思います。

本年もよろしくお願い申し上げます。