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おはようございます。


もう3月の下旬。

激務の!?確定申告で、長らくブログを更新してなく、すみませんでした。

やはり、2月・3月は、クライアントの都合もあり、申告を完了するまでバタバタいたします。


さて、ようやく落ち着いてきましたので、久しぶりのブログ更新!

また、納税協会でのセミナー講師も再開ということで、いそいそとセミナー資料を作成しております。

今回のセミナーは、「消費税インボイス制度(実務編)」

インボイス制度導入後、6か月が経とうとしておりますが、企業等から様々な質問があり、それを受け、国税庁のQ&Aが順次更新されていて、それをベースとした内容でセミナーを開催することとしています。


これまでもインボイス制度のセミナーを開催し、受講者の方からご質問を受けることがあり、今回のセミナーでは、その内容も盛り込むこととしました。

その内容とは、「海外宿泊予約サイトを使った場合、インボイスは発行されないの?」との質問です。



海外宿泊予約サイトを見てみると・・


海外宿泊予約サイトって、結構いろいろあるのですね。

Booking.com(ブッキングドットコム)、Agoda(アゴダ)

Expedia(エクスペディア)、Trip.com(トリップドットコム ※旧 Ctrip)


で、Agoda(アゴダ)の予約サイトを見てみると・・・。


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なるほどなるほど、「インボイス提供という現地の要件に従うのは、貴施設の責任となります」と書いてあり、Agodaでは、インボイスを発行せず、利用した施設(ホテル等)で発行してもらえ!ということか・・・。


確かに、海外事業者の場合は、日本のインボイス制度の適用から除外されるますので。。。



では、利用するホテル等でインボイスを発行してもらえるのか?


次に、あるホテルのWEBサイトを見てみました。

すると・・・、


【重要】インボイス制度に関わる海外サイトの領収書の対応について


平素より○○ホテルに格別のご愛顧を賜り厚くお礼申しあげます。

2023年10月からのインボイス制度開始について皆様にご案内申し上げます。

現在、海外サイト(ブッキングドットコム、agoda、エクスペディア等)が日本国内の請求書・領収書(インボイス)に非対応であることを確認しております。

事前決済にて旅行代理店や宿泊予約サイト等でご予約された場合、当該代理店等が領収書を発行するため、ホテルより請求書・領収書(インボイス)を発行することは原則できかねます。

また事前決済で予約された場合、領収書は当ホテルでは発行出来ませんのでご注意ください。

旅行会社(楽天トラベル、じゃらん、JTBなど)を通してご利用される際、事前決済の場合は当ホテルでは領収書が発行出来ません。

出張利用等で領収書が必要なお客様は、当ホテルホームページよりご予約頂くか、現地決済の場合に当ホテルが請求書・領収書(インボイス)を発行いたします。

何卒ご理解を賜りますようお願い申しあげます。



あらら、ホテル側でも、インボイスを発行しないと!

発行してもらいたいのなら、国内の宿泊予約サイトか、ホテルのHPから直接予約せよ!と。。。



対応策がありました、ありました


海外宿泊予約サイトを利用したら、仕入税額控除を諦めないといけないのか・・。


いえ、対応策がありました!

それは、「出張旅費特例」を適用すれば良いとのことです。


「出張旅費特例」とは、出張者が旅費を立て替えた場合は、インボイスが不要、帳簿のみの保存で、仕入税額控除ができるという制度です。

したがって、もし、海外宿泊予約サイトを利用するときは、会社ではなく出張者が予約し、精算時に、出張者は、予約完了のメール等を会社に提供。会社は、それに基づき記帳すれば良いということになります。


最後に、出張旅費特例の概要を解説しておきます。

・ 出張旅費等特例は、企業が従業員に支給する出張旅費、宿泊費、日当などの経費について、その旅行に通常必要と認められる範囲の金額であれば、インボイス(領収書や請求書などの証拠書類)の保存なしに仕入税額控除を受けられる。

・ この特例は、社内規程や基準の有無、概算払いか実費精算かといった経費の支給形式に関わらず適用される。つまり、企業が設定する基準に基づいて支給された旅費であれば、形式を問わず特例の対象となる。

 


編集後記


いかがでしたしょうか、上記のような方法で対応が可能だと。


インボイス制度導入後、企業等から、いろんな面で質問が発生しているようで、国税庁も、Q&Aを随時更新しています。

当ブログも、皆様の役に立つ情報を発信していきたいと考えていますので、今後も、よろしくお願いいたします。




年が明けて、あっという間に2月下旬。

今は、確定申告真っ最中!

1月下旬から、申告手続きでバタバタしていて、ブログの更新が進まず、申し訳ございません。

ようやく前哨戦が終わりましたので、久しぶりのブログ更新となります。


さて、先日、去年法人を設立したクライアントの申告を行いました。

が、その後、府税事務所、市税事務所から、立て続けに「法人の設立届出が出ていない」との連絡がありました。


今回は、その経験を踏まえて、行政の「縦割り」と、その解消について書きたいと思います。



国と自治体で取扱いが異なる「法人設立届」


今回の法人については、途中から関与したため、設立届は既に出しているものだろうと思っていて、先日、税務署、府税、市税の各事務所に、法人税等の申告を行いました。

ところが、府税・市税それぞれから、「設立届が出ていない」との連絡があり、クライアントに確認すると、税務署しか設立届を提出していないことが判明。


そこで、設立届について、WEBでググッてみると、

法人の設立届出については、

・ 税務署の場合は、会社設立日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

・ 一方、都道府県税事務所や市町村役場に提出する届出書は、自治体ごとに提出期限が異なっていて、例えば、東京23区の場合は会社設立日にかかわらず、事業開始日から15日以内、大阪府の場合は法人設立の日、または事務所設置の日から2か月以内など、自治体によって提出期限が異なっています


え~っ、国と自治体によって、提出期限が異なるって、どういうこと!

というのが第一の疑問・・・。



次に、府税・市税の各担当者から、設立届の際には、法人の登記簿と定款の写しを合わせて提出するようにとの指示。

こちらも、WEBでググッてみると、

・ 税務署は、定款、寄附行為、規則または規約等の写し

(以前添付が必要だった「登記簿謄本」は、2019年4月以降不要

・ 一方、自治体は、定款、寄附行為、規則または規約等の写しと登記簿謄本


え~っ、こちらも、国と自治体で、添付書類が異なっているではないか!

というのが、第二の疑問・・・。



eLTAXで設立届出を提出しましたが・・。


自治体に設立届出を電子申請するため、クライアントに連絡し、登記簿謄本と定款をスキャナして、メールで送信していただきました。


eLTAXは、何度か利用していて、国税のe-Taxとは作りが異なっていて、いつも操作方法に迷うのですが、ようやく慣れてきました。


今回の設立届については、まずは府税から入力。

「法人設立届」を選択して、所定の入力を行いました。

次に、市税です。

「法人設立届」を選択。入力画面が府税と全く一緒ではないか!


え~っ、府税で入力したデータを、そのまま市税にインポートできないの!?

というのが、第三の疑問・・・。



DX化で行政の「縦割り」を無くして欲しい


今回のケース、皆さん、どう思われましたが?

税理士なら、設立届ぐらい、ちゃんと知っておけよ!と言われそうですが・・。


これだけ扱いが異なるというのは、政府が進めているDX化もまだまだだなぁ~と思った次第です。

例えば、法人については、設立登記すると「法人番号」が付され公表されています。

つまり、登記情報に基づき法人番号が付されるので、税務署の設立届については、登記簿謄本は省略されるようになった訳です。


自治体は、国税庁の「法人番号公表サイト」で確認すれば良いわけで、あえて登記簿を添付させる必要はないのではないでしょうか。


また、府税と市税それぞれで、設立届出を提出する必要はあるのでしょうか。

eLTAXでデータ連携すれば、ワンライティングで良いのではないでしょうか!



面白い記事(論説)を見つけました


以上の疑問を解消してくれる記事を見つけました。

税務大学校が発行する「税大ジャーナル」というのがあり、ホームページで公開されています。


その2024.2月号の記事

事業者DXのための民間と各税・社会保険当局の役割

-データの分断・重複を避けるためにはどうしたらいいのか-

熊本国税局長 初谷武志


https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/journal/saisin/0024002-001_hatsugai.pdf


初谷さんは、私が大阪国税局に在籍していたとき、総務部長をされていて、お世話になった方です。


その内容ですが、要約すると、

・ 民間の会計ベンダーでは、データ連携が進んでいる

・ 行政は、行政の機能分担によって乱立している状況

(行政の機能分担については、注釈で「公務員としては使いたくない言葉だが、「縦割り」のこと」と述べられている)

・ 国と自治体で、データの相互利用を促進すべき

・ そのためには、行政で保有するデータの「プラットフォーム」を創設すべき


非常に興味深い記事だと思いましたので、紹介させていただきました。



編集後記


久しぶりのブログ更新で、長文となってしまい、申し訳ございません。


私も国税局時代、e-Taxを推進した人間ですので、行政のDX化については熱い想いがあります。

私としては、マイナンバー、法人番号、インボイス番号などの導入により、様々なデータを紐付けできる環境は整ってきたわけですから、もっともっと利便性と効率化のためにDX化を推進して欲しいと思います。


さて、確定申告も、後半戦に突入!

所得税も法人税も、今やパソコンなしでは、申告できない時代になっています。

e-Taxで送信されたデータについては、自治体との連携など更なる有効活用を期待しています。


【2024.03.18更新】

法人の設立届出については、国税庁のe-Tax(WEB版)を使えば、地方税も含めて一括で提出できるようになっているのを確認しました。

上記記事を訂正いたします。ただ、あまり広く周知されていないような。。。


以下の記事を紹介しておきます。参考になさってください。

・ e-TaxからeLTAXへの直接連携が可能に e-TaxソフトWEB版の法人異動届出

https://kurihara-office.com/200331etax-web-notification2


年が明けて、あっという間に2月下旬。

今は、確定申告真っ最中!

1月下旬から、申告手続きでバタバタしていて、ブログの更新が進まず、申し訳ございません。

ようやく前哨戦が終わりましたので、久しぶりのブログ更新となります。


さて、先日、去年法人を設立したクライアントの申告を行いました。

が、その後、府税事務所、市税事務所から、立て続けに「法人の設立届出が出ていない」との連絡がありました。


今回は、その経験を踏まえて、行政の「縦割り」と、その解消について書きたいと思います。



国と自治体で取扱いが異なる「法人設立届」


今回の法人については、途中から関与したため、設立届は既に出しているものだろうと思っていて、先日、税務署、府税、市税の各事務所に、法人税等の申告を行いました。

ところが、府税・市税それぞれから、「設立届が出ていない」との連絡があり、クライアントに確認すると、税務署しか設立届を提出していないことが判明。


そこで、設立届について、WEBでググッてみると、

法人の設立届出については、

・ 税務署の場合は、会社設立日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

・ 一方、都道府県税事務所や市町村役場に提出する届出書は、自治体ごとに提出期限が異なっていて、例えば、東京23区の場合は会社設立日にかかわらず、事業開始日から15日以内、大阪府の場合は法人設立の日、または事務所設置の日から2か月以内など、自治体によって提出期限が異なっています


え~っ、国と自治体によって、提出期限が異なるって、どういうこと!

というのが第一の疑問・・・。



次に、府税・市税の各担当者から、設立届の際には、法人の登記簿と定款の写しを合わせて提出するようにとの指示。

こちらも、WEBでググッてみると、

・ 税務署は、定款、寄附行為、規則または規約等の写し

(以前添付が必要だった「登記簿謄本」は、2019年4月以降不要

・ 一方、自治体は、定款、寄附行為、規則または規約等の写しと登記簿謄本


え~っ、こちらも、国と自治体で、添付書類が異なっているではないか!

というのが、第二の疑問・・・。



eLTAXで設立届出を提出しましたが・・。


自治体に設立届出を電子申請するため、クライアントに連絡し、登記簿謄本と定款をスキャナして、メールで送信していただきました。


eLTAXは、何度か利用していて、国税のe-Taxとは作りが異なっていて、いつも操作方法に迷うのですが、ようやく慣れてきました。


今回の設立届については、まずは府税から入力。

「法人設立届」を選択して、所定の入力を行いました。

次に、市税です。

「法人設立届」を選択。入力画面が府税と全く一緒ではないか!


え~っ、府税で入力したデータを、そのまま市税にインポートできないの!?

というのが、第三の疑問・・・。



DX化で行政の「縦割り」を無くして欲しい


今回のケース、皆さん、どう思われましたが?

税理士なら、設立届ぐらい、ちゃんと知っておけよ!と言われそうですが・・。


これだけ扱いが異なるというのは、政府が進めているDX化もまだまだだなぁ~と思った次第です。

例えば、法人については、設立登記すると「法人番号」が付され公表されています。

つまり、登記情報に基づき法人番号が付されるので、税務署の設立届については、登記簿謄本は省略されるようになった訳です。


自治体は、国税庁の「法人番号公表サイト」で確認すれば良いわけで、あえて登記簿を添付させる必要はないのではないでしょうか。


また、府税と市税それぞれで、設立届出を提出する必要はあるのでしょうか。

eLTAXでデータ連携すれば、ワンライティングで良いのではないでしょうか!



面白い記事(論説)を見つけました


以上の疑問を解消してくれる記事を見つけました。

税務大学校が発行する「税大ジャーナル」というのがあり、ホームページで公開されています。


その2024.2月号の記事

事業者DXのための民間と各税・社会保険当局の役割

-データの分断・重複を避けるためにはどうしたらいいのか-

熊本国税局長 初谷武志


https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/journal/saisin/0024002-001_hatsugai.pdf


初谷さんは、私が大阪国税局に在籍していたとき、総務部長をされていて、お世話になった方です。


その内容ですが、要約すると、

・ 民間の会計ベンダーでは、データ連携が進んでいる

・ 行政は、行政の機能分担によって乱立している状況

(行政の機能分担については、注釈で「公務員としては使いたくない言葉だが、「縦割り」のこと」と述べられている)

・ 国と自治体で、データの相互利用を促進すべき

・ そのためには、行政で保有するデータの「プラットフォーム」を創設すべき


非常に興味深い記事だと思いましたので、紹介させていただきました。



編集後記


久しぶりのブログ更新で、長文となってしまい、申し訳ございません。


私も国税局時代、e-Taxを推進した人間ですので、行政のDX化については熱い想いがあります。

私としては、マイナンバー、法人番号、インボイス番号などの導入により、様々なデータを紐付けできる環境は整ってきたわけですから、もっともっと利便性と効率化のためにDX化を推進して欲しいと思います。


さて、確定申告も、後半戦に突入!

所得税も法人税も、今やパソコンなしでは、申告できない時代になっています。

e-Taxで送信されたデータについては、自治体との連携など更なる有効活用を期待しています。


新年明けましておめでとうございます。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


もう1月の中旬。

いよいよ確定申告が始まりますね!


その前に、徴収高計算書、法定調書、給与支払報告書、更には、償却資産の申告と、矢継ぎ早に事務処理をこなしていく必要があり、税理士にとって、1月は超繁忙期と言えます。


さて、今回は「小ネタ」となりますが、令和4年度の税制改正(令和5年分から適用)を踏まえ、確定申告の際に誤りやすい事項を紹介したいと思います。


私は株を保有していて、毎年、配当所得を申告していますが、住民税の取扱いが変わりましたので、注意する必要があります。



改正前の取扱い


配当所得については、これまで、所得税で総合課税、住民税で申告不要制度を選択するなどの方法が可能でした。


具体的には、以下のような取扱いとなっていました

(対象となる配当所得)

所得税及び復興特別所得税15.315%と県民税5%(配当割・株式等譲渡所得割)の合計20.315%の税率で源泉徴収(特別徴収)されている上場株式等の配当所得が対象となります。

※ 非上場株式の配当所得等は対象外です。


(課税方式の選択)

A又はBいずれかの方法によります。

A.確定申告書の第2表の住民税・事業税に関する事項の特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要の欄に〇を記入して確定申告を行う。

B.住民税の申告書に「上場株式等の所得に関する住民税課税方法選択の申出書」及び収入関係書類(特定口座年間取引報告書や支払い通知書等の写し、確定申告書の控えの写し)を添付して提出する。



令和5年分以降の取扱い


令和5年分からは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することはできなくなりました。


具体的には、

上場株式等の配当所得等に係る個人住民税の課税方式の選択をすることができなくなり、所得税の確定申告書を提出した場合には、住民税の申告書も提出されたものとみなされ、所得税と住民税とで同一の課税方式(申告不要又は総合課税若しくは分離課税)となります。


・申告不要制度

少額配当(1回あたりの配当が年ベースで10万円以下のもの)について、所得税の確定申告を不要とする制度です。

※ 改正前は、住民税については申告が必要でしたが、国税の取扱いと統一されました。


・分離課税制度

ほかの所得金額とは分離して税額を計算し、確定申告によって納税する課税方式



改正後の留意点


改正前までは有利な課税方式を、所得税・住民税のそれぞれで選択できました。

しかし、改正後は所得税・住民税を単体で考えると、税額や保険料の負担が増える可能性があります。


具体的には、

・ これまでは、課税所得金額が900万円以下なら総合課税(配当控除適用)が有利でした。

・ 令和5年分からは、

>課税所得金額が695万円以下の場合は、総合課税(配当控除適用)が有利

>課税所得金額が695万円超の場合は、申告不要が有利

になります。


また、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料について、影響が出てきます。

ある市役所のホームページの説明を記載しておきます。

********

※株式や配当などを申告することにより懸念される影響

① 上場株式等の譲渡所得等や配当所得等を申告した結果、見込まれる住民税上の還付分や減額分よりも、国保税の増額分が上回る場合があります。

② 国保の給付関連(高額療養費計算や限度額適用認定証等)の自己負担額についても増額となる場合があります。

③ 70歳以上の方は、医療費の自己負担割合の判定対象に含まれるため、医療費の自己負担額についても増額となる場合があります。

④ 65歳以上の方の介護保険料については、取り扱いが異なります。詳細は長寿福祉課へお問い合わせください。

********



編集後記


いかがでしょうか、今回の改正で、保険料まで影響するとは思いませんでした。


まぁ、今年から新NISAが始まり、配当所得も非課税となりますので、その制度を利用する方が良いかもしれません。

ただ、現在保有している株を、新NISAに移管することはできないので、一旦、株を売って、新たに新NISA口座を開設して株を買い直さないといけませんが・・。


いずれにしても、税制改正は、「税」だけでなく、他にも影響が出ると。。。

お気を付けいただければ幸いです。


ということで、今年も、税金等に関する有益な情報を発信していきたいと思います。

本年もよろしくお願い申し上げます。


こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


令和5年(2023年)も、残り僅かとなりました。

この1年、いかがでしたでしょうか?


1年を振り返ってみますと、インボイス制度の導入、38年ぶりの阪神日本一など、印象的な1年だったような。

そういえば、今年の漢字は「」でしたね。


私自身、今年は、税理士業務だけでなく、自身を磨くために次の機関に応募し、採用されました。

・ 近畿税理士会「近畿税務研究センター」研究員

・ 日本税理士連会「デジタル相談室」相談員

・ 近畿税理士会「業務デジタル化相談室」相談員


「近畿税務研究センター」では、消費税チームに属し、分担して論文を書かねばならず、私の分担は「デジタルインボイス」(汗)

現在、資料集めをしているところなんですが、まずは、「消費税って、どのように導入されたのか?」という点を押さえておく必要があると思い、ネットで関係資料を検索!


沢山の論文が見つかりましたが、その中で一番興味を引いたのは、

財務省に設置されている「財務総合政策研究所」

のホームページでした。

そのHPには、膨大な財務省や税制改正の歴史が掲載されていて、消費税の導入に関して非常に参考になる情報がありましたので、今年最後のブログとして紹介したいと思います。

もし、お時間ありましたらお正月にでも、資料をお読みいただければ幸いです。



財務総合研究所「財政史」を読む!


いろんなキーワードでWEB検索して、引っかかったのが財務総合研究所の「財政史」でした。

財務総合研究所のHPから、この「財政史」は見つけにくいです。

階層は、

トップページ > 刊行物 > 財政史等 > 財政史

https://www.mof.go.jp/pri/publication/policy_history/index.htm#07

画像_2023-12-27_154749617


ここには、明治から平成12年までの財政や税制の歴史が克明に記載された資料がアップされています。

例えば、

 『平成財政史-平成元~12年度』は全12巻で、そのページを開いてみると、次のようになっています。

画像_2023-12-27_155647198


その中に「租税」の項目がありますので、それを開く(ダウンロードする)ことができ、大平内閣の「一般消費税」、中曽根内閣の「売上税」、そして竹下内閣「消費税」の導入までの経緯が克明にー少しドキュメンタリー風にー記載されています。



当時の主税局長 尾崎護氏の回顧録が泣ける!


資料をダウンロードして、画面上で、ザーっと読んでみました。

国内に「新しい税」を導入するのは、並大抵の努力では実現しなかったのだなぁ~というのが私の感想です。


消費税導入反対の運動に伴う、業界団体への根回し、市民との対話集会の開催などなど、当時の政治家、財務省、国税庁は、相当苦労したのが分かります。


その中で、とても印象的だったのは、当時の主税局長である尾崎護氏の「回顧録」です。こういうエピソードが「財政史」に掲載されているのが素晴らしいと思いました。

では、以下、その発言を紹介させていただきます。


「ほんとうに頭の中は消費税の実施でいっぱいでした。というのは、世の中は、きっと 4 月 1 日に大混乱が起こるだろう。ということを予測していたわけですね。おそらくスーパーのレジの前では大行列ができるであろう。あるいは百円玉 1 つ持って、鉛筆 1 本を買いに行った子供たちが103円だと言われて買えないで泣いて帰って来るだろうというようなことが、ほんとうにまことしやかに書かれたり言われたりしてたんですね。今から考えるとほんとうに噴飯物なんですけれども、そういうことにいちいち答えていかなければならないということが、我々の非常に辛かったところなのです」


「翌日、夜が明けてから、今度は横山町やら浅草やらに行ってみました。いろいろなところをのぞきまして、浅草で傘を 1 本買いましたら、その正札のとおりの値段なんですね。 3 %を取らないんです。それで「 3 %、いいの? 」と聞いたんです。そうしたら、その傘屋のおばさんが「これはまだ消費税がつく前に仕入れた分ですからいいです」と言ったんですね。ほんとうに日本の事業者のレベルというのは高いなと。そんなに慌てふためいてもいないなという印象をますます強く持ちました。」


「あんなに心配だったことはほんとうにないですね。

それで、薄井君〔薄井信明、当時主税局審議官〕と一緒に六本木のコンビニでしたかね。今で言えばコンビニですね。そこに行きまして、11時50分ごろに行きまして、店の中をぶらぶらして時間をつぶして見ている。そうしたら、午前0 時直前になったら、レジのふたをあけて、何かちょこちょことやったんですよね。また、ぽんと閉めて、 0 時を過ぎた途端に、私が、あれは歯ブラシだったと思いますけれども、 1 本持って買いにいったんですね。そうしたら、領収書にもうちゃんと 3 %ついているんですよ。「早わざだね」とレジの男性に言いましたら、彼が「いや、こんな小さなレジスターでも、いろいろな機能がついていて、こんなのは何でもないんですよ」と言って、さっきソフトを入れかえただけですと言うんですね。今までのあの騒ぎは一体何だったんだという感

じでしたが、それと同時に、ほんとうにほっとしたのを覚えています。」


尾崎護氏は、昭和63年から3年間主税局長を務められ、令和3年:国税庁長官、平成4年:大蔵事務次官まで上り詰められた、正しく「消費税の生みの親」だと思います!



編集後記


私は国税OBなので、尾崎さんのご発言に「うんうん」と、凄く感動してしまいました。

平成元年4月に導入された消費税も35年が経過。

今や、軽減税率やインボイス制度まで導入され、導入時に議論されていた欧州型消費税(VAT)に近い形にまで成長したと思います。


今年は、これでブログは終了いたしますが、これまでお読みいただいた皆様に感謝いたしますとともに、良いお年をお迎えいただきますことをお祈り申し上げます。

では、来年もよろしくお願いいたします。


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