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おは・こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


先週は、納税協会が主催する「消費税入門セミナー」の講師を務めました。

申込者が多く、広い会場に変えての開催。2時間半の長丁場でした。


国税庁発行の「消費税のあらまし」を使って、消費税の仕組みや会計処理等を解説。

さらに、実際の消費税申告書の書き方演習も!

最後の30分は、インボイス制度について概要を説明いたしました。一番前で寝ていた受講者の方も、インボイス制度だけは興味津々で聞いておられました(笑)


さて、このシリーズも4回目。

インボイス制度が導入されたらどういう影響が出るか。深淵に触れてみたいと思います。



原則、適格請求書の保存は必須に!


現行では、1 回の取引に係る税込みの金額が3 万円未満の取引に係る課税仕入れについては、請求書等の保存がなくても帳簿の保存により仕入税額控除を適用することができます。


しかし、インボイス制度が導入されると、次のような取引を除いて、適格請求書を保存しなければ、仕入税額控除は受けれなくなります。

イ 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による運送

ロ 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡

ハ 生産者が農協、漁協等に委託して行う農林水産物の譲渡

二 古物商、質屋、再生資源業において行う物品等の譲渡

ホ 3万円未満の自動販売機による商品の販売等

ヘ 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス


いかがでしょうか。

一部、3万円未満の取引も含まれますが、非常に厳格に「線引き」されていると思いませんか?

ただ、農業や漁業所得者だけ、優遇されているような規定が見受けられます。



農協特例だけ?他の事業者の苦悩・・。


農業協同組合や水産業協同組合、森林組合の組合員である生産者が農協等に対して、⓵無条件委託方式による販売をし、その代金を⓶共同計算方式により精算する場合、生産者はインボイスの交付義務が免除されることとなっています。


この「インボイスの交付義務が免除される」って、回りくどい言い方だと思いませんか⁉

要は、免税事業者のまま取引が出来る、ってことなんです!

いわゆる「農協特例」と言われているものです。


しかし、インボイスの導入で影響を受ける業種は他にもあります。

イ 建設工事労務者(一人親方など)

ロ 駐車場経営者(タイムズ等コインパーキング)

ハ 個人タクシー

二 生命保険外交員 

などなど・・・。



既に対応を始めている事業者もありますが、一方で・・。


インボイス制度は、いろんな業種に影響を及ぼします。

やはり、登録事業者にならないと商売ができないのかも知れません。

既に対応を始めている業者も存在します。


《「レクサス個人タクシー」HPより》

「令和5年10月1日(2023年10月1日)から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応するため、現在、全ての事業者において登録・申請を進めています。

現在は一部ドライバーのみ登録済みですが、未登録のドライバーも申請中(登録待ち)のため、近日中に全ドライバーの登録が完了する予定です。」


一方、「シルバー人材センター」の記事が紹介されていました。今後どのように対応されるのか心配です。

《「税のしるべ」令和4年4月18日号より》

個人事業主の扱いとなる同センター会員に支払われる報酬(配分金)は1人当たり月額平均で約3万8000円程度という。

この報酬額からインボイスの導入に伴って会員が課税事業者となると、同センターがこれまで控除できていた会員への報酬に含まれる消費税を控除できなくなり、同センターはその部分の消費税を支払う義務が生じる。

ただ、公益法人である同センターの場合、運営は収支相償(収入が適正な費用を償う額を超えない)を原則としており、新たな税負担に耐えうる財源はなく、死活問題になりかねないとされる。



編集後記


今回は、問題提起という形で、インボイス制度の課題を紹介いたしました。

免税事業者=売上が1,000万円以下の事業者ですが、インボイス制度の導入によって、極めて多くの事業者が影響を受けることになると思います。


直接インボイス制度とは関係ないかも知れませんが、日本のアニメは世界的に評価されています。

ところが、その下支えをしているアニメーターは、非常に収入が低いとのこと。このままでは、優秀なアニメーターは、賃金が高い中国に流出してしまう、といった内容が報道番組で紹介されていました。


日本の経済も、収入1,000万円以下の小規模事業者が下支えしていると思われ、インボイス制度の導入により、経済構造がガラリと変わってしまうことも危惧されます。。。





こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


昨日は、クライアントのお付き合いで、超名門のゴルフコースへ。

でも、朝から大雨☂

大粒の雨に打たれながら、頑張りましたが、深いラフと難しいグリーンに悩まされ、撃沈いたしました(:_;)


さて、今回は、一旦登録申請したけど、やっぱり止めたいという場合、どうすれば良いかについて、ご説明いたします。



登録の取り止めには、期限がある!


適格請求書発⾏事業者の登録をやめようとする場合は、所轄税務署⻑に「適格請求書発⾏事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出する必要がある。

原則として、登録取消届出書の提出があった⽇の属する課税期間の翌課税期間の初⽇に登録の効⼒が失われる。

ただし、登録取消届出書を、その提出のあった⽇の属する課税期間の末⽇から起算して30⽇前の⽇から、その課税期間の末⽇までの間に提出した場合は、その提出があった⽇の属する課税期間の翌々課税期間の初⽇に登録の効⼒が失われる。


なかなか難しいことを書いてますが、要は、取り止めする場合、

・ 法人であれば「決算期末」

・ 個人であれば「12月31日」

の30日前までに、登録取消届出書を提出しないとダメ!

間に合わなければ、1年先になるということです。


図解すると、次のようになります


2022-05-22 (3)


ココで気を付けていただきたいのは、

適格請求書発⾏事業者を止めても、消費税課税事業者は継続する!

ということです。


前回のブログで、令和4年度税制改正で、登録事業者の提出期限が弾力化されたと書きました。

思い出してください。

ア) 免税事業者が令和5年10⽉1⽇から令和11年9⽉30⽇までの⽇の属する課税期間中に適格請求書発⾏事業者の登録を受ける場合には、その登録⽇から適格請求書発⾏事業者となることができることとする。

イ) 上記ア)の適⽤を受けて登録⽇から課税事業者となる適格請求書発⾏事業者のその登録⽇の属する課税期間の翌課税期間からその登録⽇以後2年を経過する⽇の属する課税期間までの各課税期間については、事業者免税点制度を適⽤しない


⇒「事業者免税点制度を適用しない」ということは、課税事業者を止めれない。

 適格請求書発行事業者を止めたまま、消費税課税事業者として申告を続ける。事業者にとってメリットは無いと思われますが、法律上、ケースとして有り得ることとなります。



編集後記


今回は、若干短めの掲載となりましたが、次の回から、インボイス制度の問題点など核心に触れた内容となりますので、今回は、ここで止めておきたいと思います。


私が加入している納税協会では、「インボイス制度と電子帳簿保存法」のセミナーを開催。その講師を私が受け持つこととなりました。

当初は2回の予定でしたが、応募者が殺到し追加で2回、計4回の開催となりました。

納税者の皆さんも、相当、インボイスへの関心が高まってきたのだと実感しております。


では、次回の更新をお楽しみに。できるだけ間を開けずに掲載したいと思います(^^;