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こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
日本シリーズが始まり、59年ぶりの関西ダービーで、関西は盛り上がっておりますが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
また、インボイス制度が始まって、1か月が経過しようとしていますが、もう新聞記事になることはなく、今の焦点は、所得税減税!?
テレビでも、いろいろ報道されていますが、経済効果の観点からは、消費税減税の方が良いような気もしますが、財務省は、絶対「首を縦に振らない」でしょう💦
さて、今回は、法人税について。
でも、これ、インボイス制度が影響していて、前回のブログと関連する内容でもあります。
接待交際費といっても、飲食に限った話ですが、法人税法上、
「接待交際を目的とした飲食やそれと似たような行為であれば、その店で使ったお金の総額を人数で割って5,000円以下なら接待交際費から除外できる」
とされています。
そして、「5,000円基準」の判定は、
「法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行う」
とされています。
で、ここで問題となるのが、飲食した店が、インボイスの登録事業者なのか、それとも未登録事業者なのかで、当該判定金額に「差」が出てしまうので、注意が必要となってきます。
はい、これは簡単ですよね。今までどおり、判定金額は以下のとおりとなります。
税抜き・・・5,000円
税込み・・・5,500円
インボイスを発行しない店舗で接待のため飲食した場合、まるまる消費税を引くことができません。
特例措置で、3年間は80%、その後の3年間は50%となっています。そして、税抜き経理の場合、引ききれなかった金額は、対価に含まれることとなります。
そうすると、例えば、一人当たり5,500円で飲食した場合の仕訳は、
交際費 5,100円 / 現金預金 5,500円
仮払消費税 400円
となり、
交際費 5,100円 > 5,000円 で、損金算入できなくなります。
では、税込みで、どこまでなら損金算入できるかですが、前回のブログの「値引対応」の算式から、最初の3年間(令和8年9月まで)の値引割合は1.961%。
そこで、次の算式で、損金算入可能な金額(税込み)を求めることができます。
Y =(X-X*0.01961)*1.1
= X*0.98039 * 1.1
Xに5,000円を代入すると、
Y = 5,393 円 が求められます。
この場合の仕訳は、次の通りになります(端数1円の誤差が出ますが、大丈夫です。)
交際費 5,000円 / 現金預金 5,393円
仮払消費税 393円
また、その次の3年間(令和8年10月以降)は、50%しか控除できなくなりますので、
割引割合は4.762%で、そこから算出した限度額は、5,239 円となります。
インボイス制度の導入で、法人税にも影響が出てくるということですね・・。
また、登録番号を持たない免税事業者については、これまで通り領収書を発行していると、5,000円基準を超えてしまうことがあるので、前回のブログでご紹介したように、「値引き対応」が必要だと思います。
値引せずに、今まで通りの領収書を発行すると、お得意さんが勤務する会社の経理部から、多部未華子のように「これは経費で落ちません!」と言われてしまいます。
そうなると、お得意さんは、お店から離れていくことに・・・。
いずれにしても、インボイス制度の導入により、いろんな影響が出てくる可能性がありますね。
あと、個人事業者の中には、消費税の知識が希薄な方が登録申請しているケースもあるようで、来年2月から始まる確定申告が心配でなりません。税務署、大丈夫!?
こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
気候の挨拶抜きで、前回のブログ「【インボイス】未登録者のための「値引き」対応シミュレーション」について、訂正記事をアップさせていただきたいと思います。
訂正といっても、根本的な間違いがあるわけではないのですが、私自身、もっとスッキリさせたいと思い、今回、もう一度、「計算式」を改めることといたしました。
よろしくお願いいたします。
あるホームページに、私と同じように「値引き」対応の記事が掲載されていました。
URLは伏せておきます。
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例:取引先(インボイスなし)から仕入れ11,000円(内消費税1,000円)を行った。
インボイス制度開始前では1,000円が仕入税額控除となるので、実質負担が10,000円となりますが、インボイス制度開始後は消費税1,000円のうち80%のみ仕入税額控除を受けられるので、実質負担額が10,200円となります。
ここで200円を減額してしまいそうになりますが、200円減額すると税込10,800円(内消費税981円)となり実質負担額は9,819円(税抜)+981(消費税)×20%=10,015円の負担になります。
よって実質負担額10,000円を算出するには、下記の計算式によって算出をしなければなりません。
値引き後の税抜価格をXとすると、
X×0.02+X=10,000円となり、
この式を整理すると、1.02X=10,000円となります。
本計算を行うと値引き後の税抜金額が9,804円となり、値引き額が196円と算出されます。
「9,804円(税抜金額)+980円(消費税)×0.2=10,000円」
値引きの交渉の際にご参考にしていただければと思います。
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非常に理路整然と説明されています。
でも、「値引き額が196円で良いの?」と疑問を持ちました。
私の前回の記事でのシミュレーションで計算した値引き額は、220円(精緻に計算すると216円)になるわけで・・・。
ハイ、お分かりの方もいると思います。
上記の例は、「税抜き」で計算した場合の値引き額なんですね。
したがって、「税込み」で計算した場合の値引額は、196円×1.1=216円
ということで、私のシミュレーション(精緻に計算した)額と一致するわけです。
ただ、上記の記事をスーっと読むと、税込みの金額から196円を値引きすれば良いと勘違いする方がいるかもしれません。
このホームページは、金額を入力すると値引額、請求額が自動計算されるので、便利だと思います。
https://zeimo.jp/tool/invoice-deduction-bill
ここで、上記例(11,000円)の値引き金額等を確認してみました。
ハイ、ちゃんと値引き額(税抜き)が196円で計算されてます。
また、「請求書に記載する金額」欄の合計(値引き後の金額)は10,784円と計算されていて、値引き額(税込み)は、11,000円-10,784円=216円となっています。
できれば一発で、値引き額(税込み)を算出できたら良いですよね。
ということで、計算式を考えてみました!
X=値引き後の価格(税抜き)
Y=値引き前の価格(税抜き)
Z=値引き額(税込み)
冒頭紹介したホームページの計算式(*は掛け算です)
1.02*X = Y
XとYは、税抜きなので、税込みにします。
1.02*X*1.1 = Y*1.1
そこから、式を展開していきましょう!
1.02*X = Y
※ 税込みにするために、右も左も1.1を掛けているので、結果、冒頭の計算式に戻りますね(^^;
X = Y ÷ 1.02 Z = Y - X
Z = Y - Y ÷ 1.02
1.02*Z = 1.02*Y - Y
1.02*Z = Y*(1.02 - 1)
1.02*Z = Y*0.02
Z = Y*0.02 ÷ 1.02 ≒ Y*0.0196078 ≒ Y*1.961%
では、税込み価格 11,000円について、上記計算式に当てはめてみますと、
11,000 * 0.01961 = 215.71 ≒ 216 円(切上げ)
となりました!
前回のブログで紹介した計算式は、ホント原始的に導き出したもので、申し訳ないです。
エクセルで演算式を入力しながらシミュレートしたもので、もっと原則を勉強した上で、計算式を導き出すべきでした。
(ただ、私の「悪戦苦闘ぶり」が記されている記念に!?、ブログは消さずに残しておきます。)。
さて、正式な「解」は求められましたが、飲食店では、税込み価格で精算しているお店がほとんどです。
なので、「お支払金額の1.961%を値引きします」と言うのは、お客様にご理解いただくのは難しいと思われます。
「なっ、なんで、そんな金額になんねん。説明しろや!」と言われるかも・・。
(上記ご紹介したホームページのシミュレーション結果を表示して説明しても良いのですが・・。)
それよりも、前回のブログで記したように「お支払い金額の2%を値引きします」と言った方が分かりやすいですし、トラブル回避になると思います。
くれぐれも、従来のレジをお使いで、レシートに表示された消費税の2%を値引き額としないでください。その金額だと、税抜きの値引き額となり、お客さんが損することとなりますので。