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【インボイス】未登録者のための値引き対応の「正解」とは!?

こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


気候の挨拶抜きで、前回のブログ「【インボイス】未登録者のための「値引き」対応シミュレーション」について、訂正記事をアップさせていただきたいと思います。


訂正といっても、根本的な間違いがあるわけではないのですが、私自身、もっとスッキリさせたいと思い、今回、もう一度、「計算式」を改めることといたしました。

よろしくお願いいたします。



あるホームページの「値引き」計算式に疑問。でも正しかった!


あるホームページに、私と同じように「値引き」対応の記事が掲載されていました。

URLは伏せておきます。


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例:取引先(インボイスなし)から仕入れ11,000円(内消費税1,000円)を行った。


インボイス制度開始前では1,000円が仕入税額控除となるので、実質負担が10,000円となりますが、インボイス制度開始後は消費税1,000円のうち80%のみ仕入税額控除を受けられるので、実質負担額が10,200円となります。


ここで200円を減額してしまいそうになりますが、200円減額すると税込10,800円(内消費税981円)となり実質負担額は9,819円(税抜)+981(消費税)×20%=10,015円の負担になります。


よって実質負担額10,000円を算出するには、下記の計算式によって算出をしなければなりません。

値引き後の税抜価格をXとすると、

X×0.02+X=10,000円となり、

この式を整理すると、1.02X=10,000円となります。


本計算を行うと値引き後の税抜金額が9,804円となり、値引き額が196円と算出されます。

「9,804円(税抜金額)+980円(消費税)×0.2=10,000円」


値引きの交渉の際にご参考にしていただければと思います。

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非常に理路整然と説明されています。

でも、「値引き額が196円で良いの?」と疑問を持ちました。

私の前回の記事でのシミュレーションで計算した値引き額は、220円(精緻に計算すると216円)になるわけで・・・。


ハイ、お分かりの方もいると思います。

上記の例は、「税抜き」で計算した場合の値引き額なんですね。

したがって、「税込み」で計算した場合の値引額は、196円×1.1=216円

ということで、私のシミュレーション(精緻に計算した)額と一致するわけです。


ただ、上記の記事をスーっと読むと、税込みの金額から196円を値引きすれば良いと勘違いする方がいるかもしれません。



別のホームページで確認してみました


このホームページは、金額を入力すると値引額、請求額が自動計算されるので、便利だと思います。

https://zeimo.jp/tool/invoice-deduction-bill


画像_2023-10-05_095427230



ここで、上記例(11,000円)の値引き金額等を確認してみました。


画像_2023-10-05_095717679


ハイ、ちゃんと値引き額(税抜き)が196円で計算されてます。

また、「請求書に記載する金額」欄の合計(値引き後の金額)は10,784円と計算されていて、値引き額(税込み)は、11,000円-10,784円=216円となっています。



結局、税込みの値引き額を算出する「解」は?


できれば一発で、値引き額(税込み)を算出できたら良いですよね。

ということで、計算式を考えてみました!


X=値引き後の価格(税抜き

Y=値引き前の価格(税抜き

Z=値引き額(税込み


冒頭紹介したホームページの計算式(*は掛け算です)

1.02*X = Y


XとYは、税抜きなので、税込みにします。

1.02*X*1.1 = Y*1.1


そこから、式を展開していきましょう!

1.02*X = Y

※ 税込みにするために、右も左も1.1を掛けているので、結果、冒頭の計算式に戻りますね(^^;


X = Y ÷ 1.02 Z = Y - X

Z = Y - Y ÷ 1.02


1.02*Z = 1.02*Y - Y

1.02*Z = Y*(1.02 - 1)

1.02*Z = Y*0.02

Z = Y*0.02 ÷ 1.02 ≒ Y*0.0196078 ≒ Y*1.961%


では、税込み価格 11,000円について、上記計算式に当てはめてみますと、

11,000 * 0.01961 = 215.71 ≒ 216 円(切上げ)

となりました!



編集後記


前回のブログで紹介した計算式は、ホント原始的に導き出したもので、申し訳ないです。

エクセルで演算式を入力しながらシミュレートしたもので、もっと原則を勉強した上で、計算式を導き出すべきでした。

(ただ、私の「悪戦苦闘ぶり」が記されている記念に!?、ブログは消さずに残しておきます。)。


さて、正式な「解」は求められましたが、飲食店では、税込み価格で精算しているお店がほとんどです。

なので、「お支払金額の1.961%を値引きします」と言うのは、お客様にご理解いただくのは難しいと思われます。

「なっ、なんで、そんな金額になんねん。説明しろや!」と言われるかも・・。

(上記ご紹介したホームページのシミュレーション結果を表示して説明しても良いのですが・・。)


それよりも、前回のブログで記したように「お支払い金額の2%を値引きします」と言った方が分かりやすいですし、トラブル回避になると思います。


くれぐれも、従来のレジをお使いで、レシートに表示された消費税の2%を値引き額としないでください。その金額だと、税抜きの値引き額となり、お客さんが損することとなりますので。