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こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
オミクロン株、大阪で市中感染者が発生しましたね。
デルタ株よりも感染力が4倍。
年末年始は、飲み会も多くなる時期で、感染拡大が懸念されます。
さて、今回は、事業承継についてお話したいと思います。
日本の会社の8割以上が同族会社で、社長の高齢化に伴って、息子さんにご事業を承継したいが税金が心配と思っておられる方も多いのではないかと。
今後、事業承継については、何度か記事にしたいと考えていますが、今回は、事業承継の現状と、保険の活用について。
会社を継続・発展させたい。それが、多くの社長さんの思いだと思います。
しかし、なかなか息子さん等に事業承継が進んでいないようで、政府も、平成21年度に「事業承継税制」を創設し、要件も年々緩和しててきていますが、適用件数も7000件程度と伸び悩んでいます。
下のグラフを見てください。20年前の社長年齢のピーク人口が50歳台→20年後のピーク人口が70歳台となっていて、20年前の社長が20年後もそのまま社長に居座っているということなんです。要は、事業承継が進んでいないことを表しています。
息子さんに事業承継をする、ということは、会社の株式を息子さんに譲渡するということ。
株式を譲渡したら、贈与税がかかります。また社長が亡くなった場合は、相続税がかかります。
その税金がとても高額になるわけです。
同族会社の株式の評価は、原則、純資産方式が適用され、会社の資産価値を発行株数で割った1株価額を算出し、持ち株数に応じて資産評価します。
日本の会社は「含み資産」が多く、もし社長がお亡くなりになり、息子さんが社長の全株式を引き継いだ場合、多額の相続税が掛かり、以降、税金で苦しむ可能性があります。
事前の対策としては、次の2つの対策が考えられます。
・ 株式の価値を引き下げておく
⇒ 要は会社の内部留保を減らしておくということ。息子さんを含め同族が会社役員をしている場合、給与や役員賞与の額をアップすることで、生前贈与と同様の効果が得られます、
・ 後継者のために、相続税を納税するための資金を用意しておく
⇒ 納税資金を事前に用意する方法として、有効なのが生命保険の活用なんです。
具体的な方法を見ていきましょう。
1.個人で生命保険に加入
社長が個人で生命保険に加入する方法です。
この場合
・ 保険金の受取人を後継者である息子さん1人に指定します。
・ 保険金の額は500万円×相続人数の額にしておきます。
この500万円×相続人数というのは、相続税を計算する場合、生命保険金は、相続人1人当たり500万までは非課税になるからです。(受取人の数とは関係なく控除が認められます。)
もし社長が急に亡くなっても、息子さんが受け取った保険金で、納税資金に充てることができます。
2.会社で生命保険に加入
会社で社長に生命保険を掛けておく方法で、社長が亡くなったら、会社が生命保険を受け取ることになります。
納税資金を捻出するため、息子さんが相続した株式を会社に買い取ってもらうケースが多々あります。
その場合、会社は、受け取った保険で、買い取り代金に充てることができます。
もし、保険に入っていなければ、買い取り代金を会社の純資産から吐き出さねばならず、会社自体の経営に影響を及ぼすことにもなりかねません。
※ この「経営者保険」については、会社の損金算入にできるものなど様々な商品があり、その件に関しては、また別の機会にお話ししたいと思います。
生命保険については、会社の利益の繰り延べ商品が流行しましたが、税制改正で、規制が厳しくなりました。
節税対策よりも、事業承継や会社の存続のために生命保険を活用することは重要だと思います。
当事務所では、生命保険コンサル会社と提携しておりますので、お気軽にご相談いただければと思っております。
こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
私は大阪市西区に住んでますが、心斎橋や難波へ歩いて行ける便利なところ。
なので、マンションがいっぱい建っていますし、今も、建設中のマンションも多くあります。
中には、30階以上のマンションも!
ということで、本日の日経新聞の記事にもなっている、タワーマンション(以下「タワマン」)による節税について書いてみたいと思います。
「国税、富裕層に「宝刀」多用 財産価値の再評価9件判明」
富裕層による相続や贈与の税務申告に、国税庁が厳しい姿勢で臨む現状が改めて鮮明になっている。合法な節税策について国税当局が「著しく不適当」とみなして財産価格を再評価した例が過去11年間に9件あった。再評価の根拠規定は「伝家の宝刀」と呼ばれているだけに税務の専門家は「適用件数が予想外に多い」と驚く。
不動産取引の萎縮などにつながらないよう適用基準の明確化を求める声が上がり始めた。
不動産物件を相続(贈与)した場合、その価格は、時価ではなく、国税庁が定める「財産評価通達」に基づいて行うのが通例で、
・ 土地・・国税庁の発表する路線価
・ 建物・・固定資産税評価額
を基に計算します。
路線価は、国土交通省が発表する公示地価の8割程度に設定されてます。
また、固定資産税の評価額も、実際の建築価格より、だいぶ低く設定されています。
ということで、相続や贈与による納税者の負担が重くなり過ぎないよう、評価額<時価となっていて、その開差が大きいほど節税効果が高いと言えるわけです。
そこに目を付けた富裕層と不動産業者の人たち。
現在、利便性の高い都市部にタワーマンションが建っていますが、上の階に行けば行くほど、販売価格が高くなっています。中には、2億円とか!
それを相続(贈与)の前に購入すれば、相続時の評価額が下がるため、「節税」になるわけです!
同じタワーマンション・同じ広さでも、1階と30階では大きな価格差があります。なのに、財産評価は同じになるというのは、あまりにも不公平だと思いませんか!?
それが、いわば「節税スキーム」に使われているわけですから、国税庁も指をくわえて黙っているわけにはいきません!
そこで、国税庁は、「伝家の宝刀」を使いました。
伝家の宝刀とは、財産評価通達「総則6項」
「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」
要は、財産評価基本通達や条文上は適法であってもその評価が著しく不適当と判断した場合は、、国税庁長官の指示で相続税評価を変えることができる、ということです。
そこで、国税庁は、上記タワマンを使った節税スキームも、この総則6項を適用して再評価を行い、相続税申告を是正するという対策に打って出たわけです。
「親が生前に約14億円で購入した不動産を相続した事例」
財産評価通達に基づいて3億3千万円の評価額で相続税を申告納付したところ、国税庁が「著しく不適当と認められる財産の価額」と指摘して訴訟に発展。
高裁判決では、国税側の主張が認められ、3億3千万円でなく、鑑定評価額の12億7千万円への増額が「適当」とされた。
いかがでしょう?9億もの節税が、訴訟で是正されたわけです。
本税だけでなく、ペナルティー(過少申告加算税)も課され、納税者にとっては大きな損失を招いてしまいました。
今後も、総則6項を適用した事案(調査や訴訟)が増えそうな感じですし、何らかの法的手当てが行われる可能性もありますね。。。
今回のケースを含め、やはり「やり過ぎ」は目を付けられますね!
税法や通達に従ったといっても、裁判になると「社会通念上、適正か、合理性はあるか」が問われる可能性があります。
富裕層の方は、相続で悩まれている方が多いですが、以前のブログでも書いたように、不動産業者の口車に乗せられないよう気を付けられた方が良いと思います。
こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
11月も月末で、師走が近づいてきました。年賀状も書かないと。ちょっと焦ってきました。
そして、12月には、来年度の税制改正大綱が発表されます。
毎 年、税制改正が行われますが、昔に比べると年々複雑になっており、税理士も勉強しないと付いていけません。。。
さて、今回は、贈与税の「節税」についてお話したいと思います。脱税ではございません!
相続税を補完する税。高い税率を掛けて、できるだけ相続時に税金を払ってもらおうと誘導する税と言えるかもしれません。
ただ、相続税よりも高い税率と言っても、110万円の「基礎控除」があります。
したがって、毎年、110万円ずつ贈与すれば、無税で、配偶者や子供に贈与することができます。
(具体的な事例)
子供が4人いたとします。その子供たちに、10年間、毎年110万円ずつ贈与すると、贈与合計は4400万円になりますが、贈与税は無税となります。
20年間なら8800万円。チリも積もれば山となりますね!
この方法を「暦年贈与(課税)」と言い、平成30年における贈与申告のうち、37万人の方が暦年贈与を行っていると言われています。
一方で、もう一つの制度として「相続時精算課税」というのがありますが、こちらの方は、毎年4万人程度の方が利用。それほど利用者が増加していない状況にあります。
去年の12月に発表された「税制改正大綱」に、その暦年課税を見直すような記載が!!
「資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討」
⇒ わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。
(中略)
相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
なかなか難しい記載ですが、ここから読み取れるのは、
・ 富裕層に対する課税強化
・ 相続時精算課税の利用促進
・ 暦年課税の見直し
この税制改正大綱で発表された内容が、ネットでも話題になっています。
どんな改正になるか推測する記事を見ると、
・ 暦年贈与税制を廃止し、贈与はすべて相続時精算課税とする。贈与時は税金がかからない、もしくは少なくし、相続時にすべての贈与を含めて課税する。
・ 暦年課税制度を見直し、相続前の贈与の加算期間を現状の3年前から、5年前or10 年前にor15年前に変更する。これにより、暦年贈与の利用の制限をし、資産移転の時期を中立的にしながら資産の再分配機能を強化する。
ということで、この12月に「令和4年税制改正大綱」が発表されますが、もし上記のような見直しが行われたら、暦年贈与による「節税」のメリットは無くなることになります。
今後の動向に注視していきたいと思います。
先日の衆議院選挙では、与野党とも「所得の再分配」を公約に掲げていました。
アベノミクスで富裕層と貧困層の二極化が進んだと・・。
私的には、「なぜ富裕層を悪者にするのか?」との思いがあるのですが、今後、やはり富裕層に対する課税強化は行われていく可能性は高いと予想されます。
国税局においても、富裕層プロジェクトチームを作って、国内だけでなく海外の保有資産に着目した調査等を推進しています。
富裕層の方は、相続や事業承継で困らないように、早めに対策を練っておくことが肝心だと思います。