本日 68 人 - 昨日 170 人 - 累計 109496 人

新年明けましておめでとうございます。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


もう1月の中旬。

いよいよ確定申告が始まりますね!


その前に、徴収高計算書、法定調書、給与支払報告書、更には、償却資産の申告と、矢継ぎ早に事務処理をこなしていく必要があり、税理士にとって、1月は超繁忙期と言えます。


さて、今回は「小ネタ」となりますが、令和4年度の税制改正(令和5年分から適用)を踏まえ、確定申告の際に誤りやすい事項を紹介したいと思います。


私は株を保有していて、毎年、配当所得を申告していますが、住民税の取扱いが変わりましたので、注意する必要があります。



改正前の取扱い


配当所得については、これまで、所得税で総合課税、住民税で申告不要制度を選択するなどの方法が可能でした。


具体的には、以下のような取扱いとなっていました

(対象となる配当所得)

所得税及び復興特別所得税15.315%と県民税5%(配当割・株式等譲渡所得割)の合計20.315%の税率で源泉徴収(特別徴収)されている上場株式等の配当所得が対象となります。

※ 非上場株式の配当所得等は対象外です。


(課税方式の選択)

A又はBいずれかの方法によります。

A.確定申告書の第2表の住民税・事業税に関する事項の特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要の欄に〇を記入して確定申告を行う。

B.住民税の申告書に「上場株式等の所得に関する住民税課税方法選択の申出書」及び収入関係書類(特定口座年間取引報告書や支払い通知書等の写し、確定申告書の控えの写し)を添付して提出する。



令和5年分以降の取扱い


令和5年分からは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することはできなくなりました。


具体的には、

上場株式等の配当所得等に係る個人住民税の課税方式の選択をすることができなくなり、所得税の確定申告書を提出した場合には、住民税の申告書も提出されたものとみなされ、所得税と住民税とで同一の課税方式(申告不要又は総合課税若しくは分離課税)となります。


・申告不要制度

少額配当(1回あたりの配当が年ベースで10万円以下のもの)について、所得税の確定申告を不要とする制度です。

※ 改正前は、住民税については申告が必要でしたが、国税の取扱いと統一されました。


・分離課税制度

ほかの所得金額とは分離して税額を計算し、確定申告によって納税する課税方式



改正後の留意点


改正前までは有利な課税方式を、所得税・住民税のそれぞれで選択できました。

しかし、改正後は所得税・住民税を単体で考えると、税額や保険料の負担が増える可能性があります。


具体的には、

・ これまでは、課税所得金額が900万円以下なら総合課税(配当控除適用)が有利でした。

・ 令和5年分からは、

>課税所得金額が695万円以下の場合は、総合課税(配当控除適用)が有利

>課税所得金額が695万円超の場合は、申告不要が有利

になります。


また、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料について、影響が出てきます。

ある市役所のホームページの説明を記載しておきます。

********

※株式や配当などを申告することにより懸念される影響

① 上場株式等の譲渡所得等や配当所得等を申告した結果、見込まれる住民税上の還付分や減額分よりも、国保税の増額分が上回る場合があります。

② 国保の給付関連(高額療養費計算や限度額適用認定証等)の自己負担額についても増額となる場合があります。

③ 70歳以上の方は、医療費の自己負担割合の判定対象に含まれるため、医療費の自己負担額についても増額となる場合があります。

④ 65歳以上の方の介護保険料については、取り扱いが異なります。詳細は長寿福祉課へお問い合わせください。

********



編集後記


いかがでしょうか、今回の改正で、保険料まで影響するとは思いませんでした。


まぁ、今年から新NISAが始まり、配当所得も非課税となりますので、その制度を利用する方が良いかもしれません。

ただ、現在保有している株を、新NISAに移管することはできないので、一旦、株を売って、新たに新NISA口座を開設して株を買い直さないといけませんが・・。


いずれにしても、税制改正は、「税」だけでなく、他にも影響が出ると。。。

お気を付けいただければ幸いです。


ということで、今年も、税金等に関する有益な情報を発信していきたいと思います。

本年もよろしくお願い申し上げます。




こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


長い間、ブログを更新しておらず、申し訳ございませんでした。

気が付けば、もう今年も1か月を切り・・・。

月日の経つのは早いもんですね。


さて、年が明けると確定申告。

税理士にとっては、繁忙期に入ります。

年末までには、今年の所得を計算して、ふるさと納税を考えておられる方も多いのではないでしょうか?


そこで今回は、そのふるさと納税の上限額、つまり、2,000円出せば商品をGETできる寄付額の上限額は、どのように計算すれば良いかを解説したいと思います。


「さとふる」などのHPで、シミュレーションできるわけですが、土地等を売った方は分離課税で申告する必要があり、その場合の上限額の計算は対応していません。

そこで、そもそもの計算は、どのようになっているのか調べてみることにしました。(税理士である私でも、これまで詳しく調べたことはなく・・。(^^;



ふるさと納税に係る「寄付金控除」の概要


市町村のホームページで、ふるさと納税の概要や上限額について、詳しく説明がされていて、その内容を、そのまま紹介させていただきます。

ふるさと納税に係る寄附金控除は、以下の順でそれぞれ控除され、寄附金額が上限額を超えない場合は2,000円を超える部分の全額が所得税と住民税から控除されます。

画像_2023-12-08_084554363


※ 所得税の税率は、原則として所得税の総合課税に係る税率(5%~45%)で計算します。ただし、申告分離課税(土地・建物等の譲渡所得、株式等の譲渡所得など)のみで課税される場合は、申告分離課税に係る税率で計算します。

※ 上記(3)における所得税の税率は、住民税の課税所得金額(所得金額から所得控除を差し引いた金額)から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた税率であり、上記(1)の税率と異なる場合があります。

※ 住民税所得割額は、住民税の課税所得金額に税率(総合課税の場合、市民税6%・県民税4%)を乗じて算出した金額から調整控除額を差し引いた金額をいいます。なお、調整控除以外の税額控除 (配当控除など)がある場合は、当該控除を差し引く前の金額になります。


(筆者注釈)

・ 気を付けないといけないのは、分離課税のみの場合は、その税率で計算。総合課税と分離課税がある場合は、総合課税に係る税率で計算する点に注意が必要です。

・ 所得税と住民税では、所得控除額が異なります。例えば、配偶者控除は33万円、基礎控除は43万円など、所得税と比べ5万円少ないので、それを考慮して「住民税所得割額」を計算する必要があります。



ふるさと納税の上限額を求める計算式


上限額の計算式についても、市町村のホームページから紹介させていただきます。

上記(3)住民税特例控除の上限額が、住民税所得割額の20%のため【住民税特例控除額(※(3)の計算式)=住民税所得割額×20%】のとき、2,000円を超える部分が全額控除となる寄附金の上限額となります。


寄附金の上限額を「X」とすると【(X-2,000円)×(90%-所得税の税率×1.021)=住民税所得割額 ×20%】の計算式となり、これを上限額「X」を求める式に直すと、次の計算式により上限額を求めることができます。


X=個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税の税率×1.021)+2,000円


所得税の税率は、課税所得金額に応じて段階的に分かれているため、上記計算式は課税所得金額の階層ごとに次の表の計算式に置き換えることができます。


画像_2023-12-08_090529843


画像_2023-12-08_090751416


(筆者注釈)

・ 上記のように、表が二つに分かれています。総合所得と分離課税がある場合は、上の表で計算。分離課税のみの場合は、下の表で計算するということになっています。

・ 上の表と下の表で、随分税率が異なりますが、そういう法律の建付けになっているようです。



詳細計算シミュレーターを見つけました(汗)


ここまでブログを書いてきて、分離課税にも対応したシミュレーションをしてくれるホームページが無いか検索してみると、あぁぁ、ありました、ありました!

それは、楽天市場のふるさと納税専用サイトです。


楽天 詳細シミュレーター

画像_2023-12-08_092349222


こんなのがあったとは・・。

このブログの前半で紹介した計算式は、意味が無くなりましたね、、



編集後記


私も毎年、ふるさと納税をしていて、楽天市場の専用サイトを利用しています。

楽天市場を利用するメリットは、期間限定で「お買い物マラソン」が開催されていて、それにエントリーすると、複数の市町村でふるさと納税を行うと、楽天ポイントが1倍ずつ加算(最高10倍)されるので、ポイント分お安く購入できます。


さて、いよいよ令和5年も終わり。

年が明けますと、年末調整、源泉納付、法定調書、支払調書、そして所得税・消費税の確定申告と、矢継ぎ早に処理をこなしていく必要があります(汗)

年内に、あと一回はブログを更新できるかな・・。

いずれにしても、来年もよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください♪



こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


所得税の確定申告期限である3月15日を過ぎ、ようやく落ち着いてきました。

コロナによる個別の期限延長のほか、3月14日からe-Taxの接続障害が発生するなど、今年の確定申告は例年にも増して、繁忙であったのではないでしょうか。


私的には、

・ 国税局と税理士会の共催による「確定申告コールセンター」の従事

・ 納税協会が主催する税務相談の支援

・ 大手税理士事務所でのお手伝い

などをさせていただき、思いのほか忙しかったわけですが、非常に勉強になりました。


実は、25年前に税務署勤務時(上席調査官)に納税相談をして以来、去年退職するまで、直接納税者と個別の相談をすることが無く、税理士になって久々の納税相談を体験させていただきました。

25年という月日が経ち、税法が変わり、申告方法もICTが主流に。

ということで、今回の経験を踏まえ、「税務環境の変化」について、忘備録的に書き留めておきたいと思います。



電子申告が普及し、添付書類の省略が半端ない!


昔の話で恐縮ですが、25年前は、例えば、次のような書類が添付(提示)要件となってました。

・ 源泉徴収票

・ 医療費の領収書

・ 寄付金の証明書 など


しかし、電子申告を行う場合は、上記書類は添付省略することとなりました。

更に、現在では、紙の申告であっても、源泉徴収票や医療費の領収書の添付が不要となりました。

医療費については、昔は、沢山の領収書が申告書に付いてきて、税務署も、それを整理・保管するのが大変でありました。税務署に提出されてものは「行政文書」となりますので、昔は申告書と同様、7年間保管していました。その後、最長2年保管に変更されたわけですが、現在は、「医療費の明細書」を添付するだけで済むように。その代わり、領収書等を申告者側で、5年間保存していただくようになりました。


またまた医療費の話で恐縮ですが、昔は、「医療費のお知らせ」は領収書ではない!ということで、その書類を添付していた申告者に対して、後で、領収書を添付するよう連絡(行政指導)を行っていました。今は、医療費のお知らせを基に、医療費の明細書を作成できますので、昔は、何だったのだろうと思ってしまいますね。

源泉徴収票も、昔はコピーはダメ!原本を付けろと、指導してましたし・・。



マイナンバーや登記の電子化により、更に簡素化された


私の認識不足は、まだまだありました。

住宅ローン控除について、昔は、登記簿謄本(現在の登記事項証明書)を添付要件としていましたが、現在は、

・ 登記事項証明書の写しでも可能

更に、

・ 不動産番号の記載

のみでもOKになってます。


この「不動産番号」は、登記情報の電子化により導入されたもので、ネットで調べてみると、

不動産番号とは、不動産を区別するための番号です。不動産の登記を行う際には、不動産の所在地や構造などを細かく記載しなければならず面倒です。しかし、不動産番号を使用することで手続きが簡略化します。

不動産番号は、登記簿謄本をその不動産を管轄する法務局で取得すれば記載されているうえ、法務局で確認することも可能です。また、法務局のHPから閲覧することも可能です。


なるほど、法務局のHPから閲覧することが可能⇒税務署でも確認できるわけで、わざわざ登記事項証明書を添付させる必要が無くなったわけですね!



あと、土地等の譲渡所得について、「居住用用財産の特例」というのがあります。

譲渡した物件が居住用財産である場合は3千万円の控除が認められるわけですが、居住用の家を売ったことを確認するため、昔は、「住民票の除票」を添付要件としていました。

しかし、現在では、マイナンバー(個人番号)が導入され、申告者の住所等が検索できるようになったので、住民票の除票は不要になったものと思われます。



「確定申告書等作成コーナー」の進化により、電話相談は苦労・・


以前のブログに記載しましたが、「確定申告書等作成コーナー」は3年前からスマホ対応となり、年々、利用範囲が拡大されています。

今回は、上場株式等の譲渡・配当について、「特定口座年間取引書」の入力ができるようになったのが大きな変更点ではないでしょうか。


私が従事した「確定申告コールセンター」にも、その操作方法についての電話がジャンジャン架かってきました。

この特定口座年間取引書については、証券会社によって微妙に様式が異なっていて、電話を架けてきた人は、「取引書のココの部分は、どうやって入力するのか?」と質問してくるのですが、電話を受けた側にとっては、その様式を見ることができません。

なので、一般的な操作方法を説明するのですが、相手は、「わからん、わからん」となりますし、こちらも「わからん、わからん」となり、らちが明かないことがしばしば・・。

挙句、

当方「申し訳ないですが、税務署に行って相談いただけませんか」

先方「税務署に行きたないから、電話しとるんや!」


作成コーナーの機能拡充により、結構年配の方も利用いただけるようになりましたが、操作方法について電話でお答えするのは、非常に難しいと感じました。

では、ZOOMを使えば良いではないかとの意見もあるかもしれませんが、それで全て解消するとは思われません。やはり、税務署等の相談会場で、面談による指導が一番良いと思われます。



国税経験者からひと言


納税協会の税務支援では、消費税の本則課税の申告書も作成しました。当然、「確定申告書等作成コーナー」で。とても便利ですね。

って、実は、私が国税庁にいた時、消費税のシステムを開発しました。自画自賛(笑)


今回、久しぶりに税務相談を経験させていただき、税務手続きの簡素化を実感!

やはり、オンライン化やマイナンバーの導入等により、申告される方が、そのメリットを享受できるよう納税環境も整備されてきたのだなぁ~と。


今後、電子取引データの義務化やインボイスが導入され、手続きが複雑化するとの危惧を抱いている方が多いですが、ぜひ、ICT等を活用して、手続きの効率化や簡素化に取り組んでいただきたいと思います。



こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


またまた、2週間以上、ブログの更新が滞っておりました。

やはり、確定申告期は忙しいです。

税理士会主催の「確定申告コールセンター」へ従事、

納税協会開催の税務支援で、納税相談に従事、

大御所先生の、確定申告のお手伝い、

などなど。。。


特に、確定申告コールセンターで、国税庁「確定申告書等作成コーナー」の操作手順の相談については、電話をいただいた方が、どの画面を見ているのか確認しないと説明できないので、とても疲れます。。。


さて、その「確定申告書等作成コーナー」で、私も気付かなかった便利機能がありましたので、ご紹介したいと思います。



去年の申告書や決算書を見たい時、どうします?


先日コールセンターで従事したとき、実際にあった電話です。

「去年、税務署で電子申告をしたが、決算書の印刷したものを貰わなかった。減価償却の計算をしたいので、どうしても決算書を見たい

との相談でした。


普通、「作成コーナー」で電子申告を終わったら、PDFファイルで、申告書や決算書が出力されるので、それを印刷して保管すれば良いわけです。

電話してきた方は、その出力したものを貰わなかったようで・・。


私 「税務署で、申告書の閲覧サービスを利用されてはいかがでしょうか?」

先方「はい、先日、税務署に行ってきましたが、決算書ではなく、損益計算書というものを貰いましたが、それには減価償却が記載されていなかったのです」

私 「損益計算書・・・?」


どうやら、税務署は書庫にしまってある決算書を探すのが手間なので、入力したデータ(決算書の1面のみ)を渡したようですね・・。



「確定申告書等作成コーナー」のトップ画面「右」に便利な機能を発見!


電話されている方が困っている模様・・。

そこで、私も、先日まで知らなかった機能をお教えすることとしました。


それは、「作成コーナー」のトップ画面、右横にあるメニューに存在します!

2022-03-04 (2)_LI


手書きの矢印で申し訳ないですが、「メッセージボックスの確認」というメニューが右にありますよね。

ここを選択して、メッセージボックスを開けば、過去に送信したものが一覧で表示されます。

ただし、このメッセージボックスを開くためには、マイナンバーカードとICカードリーダーが必要となります。


表示させたい送信履歴をクリックすると、「受信通知」が表示されます。

その下に、「ダウンロード(XML形式)」というボタンがあります。

2022-03-04 (3)_LI


ここをクリックすると、申告書等のデータをダウンロードすることができます。



次に「送信した申告書の内容の確認」に進む


2022-03-04 (5)_LI


「メッセージボックスの確認」の下に、「送信した申告書の内容の確認」というメニューがあります。

「確認する」ボタンを押すと、XLMファイルを読み込む画面に切り替わります。

そこで、先ほどダウンロードしたファイルをアップロードすれば、完了!!


「確定申告書等作成コーナー」の画面に切り替わり、以下のとおり、確認する帳票の一覧が表示されます。また、画面下部には、「決算書等帳票の表示」ボタンがあり、それを押すと、決算書のPDFファイルも表示・印刷できます!


2022-03-04 (7)



以上の内容について、電話相談の方にも説明いたしました。


先方「ICカードリーダーを持ってないのですが。どこで売ってますか?」

私 「今は、確定申告時期なので、家電量販店でも陳列してると思いますよ」

先方「そうですか、早速購入して試してみます。丁寧にお教えいただき、ありがとうございました!」



国税経験者からひと言


電話で、パソコン画面の説明をするのは、ホントに難しいです。

今回の相談ケースは、比較的若い方だったので、よく理解いただけましたが、失礼ですが、ご年配の方だと、「おまえの説明は、さっぱりわからん!」と言って、ガチャ切りされることも・・


いずれにしても、確定申告コールセンターは、1日中、電話を取りっぱなしで疲れますが、税法の改正点の勉強になりますし、作成コーナーの新機能を知ることができるなど、収穫も多いことをご報告申し上げます。m(__)m



こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


この2週間ほど、ブログの更新が滞っておりました。

というのは、ある税理士先生からクライアント(個人)の申告のお手伝い(で、1年間の記帳入力を全集中でやっていたのと、近畿税理士会が主催する「確定申告コールセンター」に申し込み、納税者の相談を電話で答える仕事に従事していたため、なかなかブログを更新する時間、というか心に余裕が無かったわけです。


さて、私が従事した「確定申告コールセンター」ですが、この仕掛け、実は、私が国税庁にいたときに考え出したもので、税理士になったら、私自身が体験しないといけないと思い、申し込みました。


ということで、このコールセンターって、どんなものか、今回はご説明したいと思います。


税務署に電話したら、コールセンターに繋がります


確定申告の時期(1月14日~3月15日)、税務署に電話すると、自動応答のガイダンスが流れ、確定申告のご相談「0」を選択すると、確定申告コールセンターに繋がるようになっています。


2022-02-14 (2)



コールセンターの構成


コールセンターは、各国税局と税理士会が共催で運営しています。

確定申告期は、非常に多くの電話が架かってきますので、特別の体制を組んでいます。


・ 最初に電話を受けるオペレータ

> 国税局が臨時に設置した会場(非常勤職員)

⇒ 相談会場がどこで開設しているのか、確定申告期限など簡単な相談は、非常勤職員が対応しています。


・ 所得税(譲渡所得を含む)、贈与税、個人の消費税の相談

> 国税局税務相談室(相談官)

> 税理士会が臨時に設置した会場(税理士)

⇒ 具体的な申告方法や税法に関する相談の場合、オペレータ(非常勤職員)から転送されてきます。

1日中、ほぼ満杯状態で電話が架かってきますので、相談室・税理士会の区分なく対応しています。


・ e-Tax、作成コーナーヘルプデスク

> コールセンターからヘルプデスクへ転送

⇒ 簡単な操作方法はコールセンターでも対応してますが、対応しきれない場合は、国税庁が開設しているヘルプデスクに転送します。



コールセンターで苦労すること


実際に従事してみて、大変だなと思ったのは、電話だと、納税者の方が見ている書類や、実際に操作している画面も見れないため、何度も聞き取りをしないと、相手が欲している回答ができないということです。特に、「作成コーナー」の操作に関する相談は苦労します。


例えば、作成コーナーを操作している方からの電話

「この画面の3番目に何を入力したら良いのか?」

と言われても、こちらは、「この画面」がわからないわけです。

そのため、順を追って、どこの画面を見ているのか、何度も聞き取り、相談従事者(私)のパソコンを操作して「同期」を取る必要があります。


こちらが何度も聞き取っていると、「なんでわからへんのや!」、「アナタでは話にならない。担当者を代えろ!」とブチ切れる人もいます。

この場合、「あなたが見ている画面が分からなければ、いくら質問されてもお答えすることができないので、何度も聞いている。ご協力ください」と丁寧に丁寧に説明させていただいてます。


その結果、「同期」が取れて、問題が解決したら、「ありがとうございました!」と喜んでいただける方がほとんどなんですけども・・。



国税経験者からひと言


私が考案した「確定申告コールセンター」は、平成16年2月、名古屋局、関東信越局、仙台局で試行したのが始まり。その後、税理士会の協力を得て、現在の形になりました。

実際に従事してみると、所得税だけでなく、譲渡所得や贈与税など、いろんな相談が飛んできますので、私自身の勉強になります。


ただ、「苦労すること」で書いたように、なかなか相手と同期が取れない場合は時間が掛かりますし、精神的にも疲れます。

また、9時~17時(1時間休憩あり)まで、矢継ぎ早に電話が架かってきますので、1日従事すると結構疲れます。(連続で従事されている税理士先生もおられ、敬服いたします。)


昔はコールセンターが無く、税務署で対応していて、電話が鳴りっぱなしであったことを踏まえると、今、税務署の担当者は、随分楽になったものだとしみじみ思いますね。


こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

コロナ感染、あれよあれよと拡大してきました。

いよいよ、大阪も、まん延防止措置に移行することに。

税務署では、還付申告される方が多く来署され、すでに確定申告モードに入っていますが、これだけコロナ感染者が増えてきますと、相談会場でクラスターが発生しないか心配であります。


さて、ブログも、確定申告の時期というおとで、「所得税」のネタが続いています。

今回は、所得税の確定申告書の様式について、お話したいと思います。



「区分」欄が増えて、確定申告書の様式が複雑に!


既に、国税庁HPには、令和3年分の確定申告書の様式が掲載されています。

その様式を見ると、金額欄以外に、各項目の横に「区分」という記載欄が多数設けられています。

昔は、そんな欄は無かったと思いますが、税制改正等により税法が複雑化して、区分欄が増えたものと思われます。

ちなみに、平成27年分と令和3年分のB様式を比べてみますと、

平成27年分の区分欄の数・・・7

令和3年分の区分欄の数・・・18

なんと、6年間で、11も区分欄が増えています!!


2022-01-21 (2)


「区分」欄には、何を書けば良いの?


それぞれの区分欄には、何を書けば良いのでしょう?

国税庁HPには、「確定申告書の書き方」というパンフレットが掲載されていて、各所得や所得控除の解説があります。その中に、区分欄の記載もありますが、文字が小さくて、探すのも大変!


と思っていたら、Twitterでお世話になっている「鈴木まゆ子」先生が、区分欄をまとめた記事をアップしてくださいました!


「確定申告書の「区分」、何を書けばいいの?手書きの人向けに徹底解説!」

https://kaikeizine.jp/article/28546/


これを見れば、一目瞭然!

鈴木まゆ子先生、ありがとうございますm(__)m

納税者の方だけでなく、税理士先生も参考になるのではないでしょうか。



なぜ「区分」欄を、申告書の第1表に詰め込んだのか


なぜ区分欄が設けられたのでしょうか。

税法が複雑化したのであれば、新たに別表を追加して、そこに記載させるという方法もあります。

しかし、別表を追加すると、

枚数が増える ⇒ 入力の手間が増える

ということになります。


確定申告は、2月16日から3月15日が申告期限。1か月の間に全国で2000万件以上の申告書が提出されます。

税務署では、相談のほか、提出された申告書を定めらた期間内に入力しなければいけません。

別表を追加すると入力事務量が増大。もし入力が遅れれば、還付金の支払いや振替納税に影響が出てしまいます。

そのため、確定申告書(第1表)のA4(1枚)という限られた面積に、できるだけ多くの情報を詰め込む⇒区分欄を設けるという苦肉の策を考えたと思われます。



「区分」欄を見れば、国税庁の狙いもわかる!?


区分欄は、複雑化した税法に対応するために設けられたものですが、よく見ると、申告内容を事前にチェックするために設けられたものが見受けられます。


次の区分欄は、海外投資をしている富裕層や、仮想通貨の取引をしている人に対するけん制効果と、事後の調査に役立てるために設けられたものと思われます。


不動産の「区分1」欄

・・海外資産に係る不動産所得に赤字がある場合の特例(措法41の4の3)の適用がある場合(他の所得と損益通算できない)

雑(その他)の「区分」欄

・・暗号資産取引に係る収入がある場合

また、

事業(営業等・農業)の「区分」欄、不動産の「区分2」欄

・・2年間宥恕された「電子帳簿保存法」の適用状況が把握できるようになっています。



国税経験者からひと言


私が国税庁で「確定申告書等作成コーナー」を開発していたのは平成14年~15年。その頃は、区分欄なんで無かったような気がします。それだけ、税法が複雑になったわけですね。


しかし、「確定申告の手引き」を読んで、手書きで申告書を作成するのは至難の業だと思います。もうパソコンかスマホ使わないと申告できない時代になったと言えるのではないでしょうか。


最後に、鈴木まゆ子先生がまとめられた記事は、各区分欄の画像を貼り付けて非常に丁寧に解説されており、とても参考になりました。

改めまして、感謝申し上げます。m(__)m



こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

オミクロン株が猛威を奮っています。今日の大阪の感染者は5千人超!

国税庁のホームページを見ると、国税職員も相当数の感染者が発生しています。

一昨年、昨年に続き、確定申告の期限が延長されるかもしれません。


さて、今回は、自己開発することとした会計ソフトについて、お話したいと思います。



自己開発することとした経緯


私自身、確定申告をするために、市販の会計ソフトを利用していますが、

・ 仕事柄、毎日記帳をするほどの取引がない

・ 毎月、家賃や水道光熱費、電話代、交通費など、固定的に発生する経費が多い

といったことから、会計ソフトで、いちいち勘定科目を選択して仕訳するのが面倒だと思うようになりました。


私と同様、毎日記帳する必要がないのに、高い会計ソフトを使っているという方、特にフリーランスや小規模事業者もいるのではないでしょうか?


出来るだけ帳簿入力の手間を省き、青色申告決算書が作成できる会計ソフトがあればいいのですが、市販の会計ソフトは万人向けに開発されていて、どこも似たり寄ったり。なかなか無いわけです。

じゃぁ、どうすれば良いか。

よし、自分で会計ソフトを作ってやる!と決意した次第です。



自作した会計ソフト「Tax-Assist」


以前、国税庁に勤務していた時、国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」の開発に携わりました。

業者に開発を依頼する際、どんなシステムを作ってもらうかをイメージしてもらうために、私自身がエクセルを使って、プロト版を作成していました。

その時のノウハウを使って、今回作成したのが、「Tax-Assist」(ティー・アシスト)

あくまで、記帳と決算書の作成を支援するシステム。

実際の確定申告は、国税庁HP「確定申告書等作成システム」を利用すれば良いわけで、できるだけシンプルな構成としています。


2022-01-18 (4)


一覧性を重視し、「日計表」形式に


通常の会計ソフトは、ひとつの仕訳を入力するための画面が用意されています。プルダウン・メニューで「勘定科目」を選択、「摘要」や「金額」を入力するようになっています。

このプルダウンが面倒なんです。メニューから勘定科目を目で追わないと選択できません。


自作したソフトは、エクセルを活用。タテ=日付と摘要、ヨコ=勘定科目、という一覧性のある構成にしているので、非常に入力がしやすいと思います。

しかも、毎月発生する費用、例えば、家賃や水道光熱費、電話代などは、予め各月に埋め込んでおけば、いちいち摘要を入力する必要がありません家賃や新聞代など毎月定額で発生する経費は、金額も各月に埋め込んでおけます。

また、必要のない勘定科目は、非表示にしておけば表がコンパクトにもなります。


2022-01-18 (11)



決算調整や減価償却費の計算も可能


個人事業者の場合、家事関連費として、一部の経費の何パーセントかを自己否認するケースがあり、決算時に、その調整を行えるようにしています。また、月別の損益がどうなっているか確認できるようにしています。

また、減価償却費を計算する画面も用意しています。


2022-01-18 (9)



月別集計表や損益計算表等を作成


開発中で画面は添付しておりませんが、期末棚卸高や家事割合等を入力した後、

・月別集計表(各月の損益を一覧表示)

・損益計算書

を作成することができます。


なお、貸借対照表の作成も、将来的に可能とする予定。一部、事業主勘定以外の仕訳処理が必要となりますが、できるだけ簡便に入力出来るようにしたいと思ってます。


いかがでしょう?

できるだけ入力を省力化して、損益計算書等を作成することができます。

あとは、このシステムで出力した帳票を参考に、国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」で入力すれば、決算書が完成!



国税経験者からひと言


今時、手書きで帳簿をつけておられる方はいないと思いますが、かといって、市販の会計ソフトの使用感に不満をお持ちの方も多いのではないでしょうか。


事業によっては、全く使わない勘定科目もありますよね。その場合は、その列を非表示にすれば、より見やすくなります。


また、比較的事業規模が大きな方であれば、売上帳や経費帳などのシートを追加するなどのカスタマイズも可能です。


今後、会計事務所で、クライアントの記帳代行に、このシステムを活用する場合を想定して、弥生など市販の会計ソフトとデータ連携できるようにもしたいと思っております♪


※令和4年1月29日、内容を更新しました。


明けましておめでとうございます。

令和4年最初のブログであります。


年が明けると、いよいよ所得税の確定申告が始まります。

サラリーマンなど還付申告については、1月4日から税務署で受付を開始してます。

また、ご事業をされている方については、2月16日~3月15日が申告期間となります。

ご事業をされている方にとって、確定申告は一大行事!?

早めに準備しておくことが肝要です。


しかし、確定申告をするためには、決算書(収支内訳書)を作成して、1年間の所得を算定しなければいけません。

そのためには、日々の記帳が大事になりますが、法人と違って、個人事業の方は、生活費と表裏一体になっているので、事業用と生活費用に区分して記帳するのは大変だと思います。


特に、青色申告決算書を作成して、55万円(65万円)の特別控除を受けるためには、複式簿記による貸借対照表の作成が必要となります。

今回は、フリーランスの方を中心に、現金を事業用として別に管理してなくても、複式簿記ができる裏技!?を紹介したいと思います!



事業主借・事業主貸って何?


青色申告決算書の4枚目に、貸借対照表を記載するページがあります。

そこを見ていただくと、下欄の左に「事業主貸」、右側に「事業主借」が記載されています。

2022-01-05 (2)


この「事業主勘定」は、個人固有のもので、個人事業主がプライベートで使ったお金と、事業の必要経費とを明確に区分して記帳することで、所得税を正しく計算できるようにするために設けられた勘定科目です。

では、どういったものが、事業主借・事業主貸になるのか見ていきましょう。


事業主借

個人のサイフから、事業用の資金を借りる」と覚えてください。

個人(プライベート)の財布から、事業用の経費を支払った場合に、「事業主借」として記帳します。

例えば、

・ 110円の消耗品を現金で購入した場合

(借方)消耗品 110 (貸方)事業主借 110


いかがでしょう、今は、電子マネーなど、いろんな支払方法がありますが、一括して「事業主借」で処理できてしまいます。



事業主貸

事業用のお金を、個人に貸す」と覚えてください。

事業用で管理しているお金を、個人用(プライベート)の支払いに使う場合に、「事業主貸」として記帳します。

例えば、

・ 事業用の現金で、110円の生活用品を購入した。

(借方)事業主貸 110 (貸方)現金 110


でも、フリーランスの方は、そもそも事業用の現金を別管理していません。

なので、上記のような仕訳は行わないと思います。


では、どういった時に、事業主貸を使うのか。

・ 売上10万円を、現金で受け取り、そのお金を個人用のサイフに入れた。

本来の仕訳は、

(借方)現金 100,000 (貸方)売上 100,000

(借方)事業主貸 100,000 (貸方)現金 100,000

となるわけですが、事業用の現金を別管理していないので、振り込まれた預金を、即、プライベートの財布に入れたことにして、

(借方)事業主貸 100,000 (貸方)売上 100,000

と、1行で仕訳をすることといます。


※ 「事業主貸」の説明に関して、読者から内容に間違いがあるとの指摘がありました。訂正してお詫び申し上げます。



現金出納簿は必要ない!


上記のように事業主勘定を使えば、現金出納簿を用意する必要はなくなります。

売上代金の現金受取や、費用の現金出金ごとに、わざわざ現金出納簿を作成するよりも、全て事業主にしてしまった方が断然に楽です。


 フリーランスの方にとって、消耗品費や雑費、交際費といった日々の支払いのために、事業用の財布を用意するのは、現実的ではないと思われます。


一部の科目(仕訳)を除き、事業主勘定を多用すれば、現金出納簿を作成してなくても、立派に「複式簿記」を作成していることとなり、青色申告特別控除(55万円又は65万円)を適用した節税が可能となります。



国税経験者からひと言


税務調査の際には、必ず現金出納簿を確認します。

帳簿に記載された現金残高と、実際にある現金を確認して、それが合ってなければ、真正な帳簿とは言えなくなり、1円でも違っていたら、それを根拠に「申告額に信憑性がない」と責められる可能性があります。

しかし、ご商売されている方は、お仕事がをしながら、日々の記帳も行わなければならず、現金を合わせるだけでも大変だと思います。

なので、フリーランスの方でなくても、事業主勘定を活用し、出来るだけ記帳を簡素化するのがオススメかと思います。


令和3年分の確定申告がいよいよ始まります。

今年は間に合わないという方は、令和4年分の申告に向けて、複式簿記にチャレンジしましょう。

青色申告特別控除は、損益計算書のみの場合は10万円、貸借対照表も作成している場合は最大65万円の控除。その差額は55万円と、節税効果は大きいです。


《最後にPR》

当事務所では、個人事業者の方の申告をサポートしています。

駆け込みでも結構ですので、ご連絡いただければ、申告書の作成をいたします。

ぜひ、お早めにご一報ください!



こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

令和3年も10日を切りました。

その年末に、大阪での悲惨な放火事件や神田沙也加さんの自死など、悲しい事件が発生いたしました。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。


さて、年が明けると、いよいよ確定申告が始まります。

昔は手書きの申告がほとんどでしたが、今は、国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」を使えば、簡単にネット申告できるようになりました♪

ということで、今回は、国税庁が発表している確定申告準備編をご紹介したいと思います。



令和3年分確定申告特集準備編


国税庁では、毎年12月になると、来年の確定申告の準備を早めにしていただくため、特集サイトを設けています。

ココです↓

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/r03junbi/index.htm


見ていただくとわかると思いますが、メニューがグラフィカルに整理されていて、初めて申告される方に、とても分かりやすく解説されていると思います。

トップページ中ほどにある「確定申告の流れ」をクリックすれば、所得税、消費税、贈与税に関する申告の概要が記載されています。


また、サラリーマン向けに、ふるさと納税医療費控除の申告方法がわかりやすく解説、更に動画もアップされています



スマホ申告が更に進化!


冒頭に記載したとおり、現在は、PCやスマホで申告ができます。

中でも、3年前から導入されたスマホ申告が年々バージョンアップしていて、令和3年分では、以下の機能が追加されました。


(スマホで申告できる対象の追加)

これまでスマホで申告できる対象所得は、給与所得、雑所得、一時所得だけでしたが、令和3年分確定申告からは、以下の申告が追加されます。

・ 特定口座年間取引報告書(上場株式等の譲渡所得等・配当所得等)

・ 上場株式等の譲渡損失額(前年繰越分)

・ 外国税額控除


(源泉徴収票を撮影して自動入力)

スマホのカメラで「給与所得の源泉徴収票」を撮影すれば、その記載内容を読み取り(OCR)、自動入力されるようになりました。


(スマホをICカードリーダライタ代わりに)

パソコンで申告書を作成する人は、マイナンバーカードの読み取りのために、ICカードリーダライタが必要でしたが、スマホのアプリ(マイナポータルアプリ)でパソコン上に表示された2次元バーコード(QRコード)を読み取ることで、マイナンバーカード方式によるe-Tax送信ができるようになりました。


なかなか文章では分かり辛いと思いますので、準備サイトに、それぞれ絵入りで解説されていますので、そちらをご覧ください。



確定申告の準備はお早めに!


ご商売をされている方にとって、毎年の恒例行事である確定申告は、ある意味、憂鬱な時期だと思われます。

いくらネット申告が便利になったとしても、その前に、ご事業の決算をしなければいけません。

日々記帳されていれば、それほど苦ではないかもしれませんが、それでも、精算表の作成、決算整理、更には消費税の申告も。


また、最近は、サラリーマンの副業、ウーバーイーツといったフリーランスの方が増えており、その方たちも申告が必要となる場合があります。


ということで、ここからは宣伝になりますが、税金でお悩みの方は、やはり税の専門家である税理士に相談いただくのが、一番早道であると思います。

(税務署では相談会場を開設していますが、決算書の作成は対応してくれません



国税経験者からひと言


私は、平成14年、国税庁に出向し、「確定申告書等作成コーナー」の開発に携わりました。導入最初は、サーバーがパンクするなど様々なトラブルが発生しましたが、20年の歳月を経て、今や定番のシステムに成長し、感慨深いものがあります。

現在、私のプライベートブログ(アメブロ)で、「作成コーナー開発秘話」を連載しています。

宜しければ、お読みいただければ幸いです(現在、第10話まで掲載)。

https://ameblo.jp/jam802/theme-10115460126.html



こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

今日大阪は、若干暖かい感じがしますが、週末は、とても寒くなるみたいですね。

年賀状の受付も始まり、いよいよ令和3年も終わりが近づいてまいりました。


さて、今回は、サクッと、ふるさと納税について、ご紹介します。

いろんなサイトで紹介しているので、制度そのものについては、各自でネットで調べてください、

って無責任なこと言ってすみません(笑)


私からは、ふるさと納税をするためのツールと、よりお得にするための方法をご紹介したいと思います。



いくらまで寄付したら良いの?


ふるさと納税は、所得(厳密には課税所得)に応じて、寄付する限度額が変わります。

その限度額まで寄付すれば、各自治体が提供する返礼品を、2,000円でGETできます。

なので、1年間の所得と、所得控除の大まかな金額を入力することで、限度額を確認することができます。

限度額シミュレーションのサイトは、コチラ

セゾンのふるさと納税

https://furusato.saisoncard.co.jp/info/simulation_d.php


「さとふる」のサイトとかもありますが、上記サイトは、シンプルですが、ある程度厳密に限度額が求められると思います。



どうやって寄付するの?


今時、テレビのCMをやっているのは「さとふる」

ほかにも、いろんなサイトで、ふるさと納税を紹介しています。


氏名や住所、クレジットカード等を登録すれば、あとは、そのサイトで紹介されている返礼品を選択するだけです。


サイトによって、扱っている市町村が違います。返礼品に拘るなら、いろんなサイトから申し込んでも良いかと思います。

ただ、私がこれまで使ってきたサイトは、楽天市場です。

なぜかというと、寄付した金額に対して、楽天ポイントが付与されるからです!

https://event.rakuten.co.jp/furusato/


更に、楽天市場では、「お買い物マラソン」といって、複数の店舗からお買い物(買い回り)をすると、楽天ポイントが2倍、3倍、・・・最大10倍までアップしていきます。


今、Yahoo知恵袋で調べてみると、年内、あと一度、お買い物マラソンが予定されているみたいです。

楽天大感謝祭が、下記日程で開催される予定です。

2021年12月19日(日) 20:00〜2021年12月26日(日) 01:59


楽天超ポイントバック祭も開催予定ですが、

お買い回りではなく、期間中の購入合計金額でポイントの倍率決まります。

2021年12月13日(月) 10:00〜2021年12月17日(金) 10:00



いつまでに寄付すれば良いの?


12月31日まで。急げ!!

※ あくまで令和3年分の所得税・住民税に反映させるためには、12月31日までということです。

来年の1月1日以降に寄付した場合は、令和4年分の所得税等に反映されます。



国税経験者からひと言

私は、国税経験者なのに、最初のころは、ふるさと納税しておりませんでした。

この制度自体、いろいろと批判はありますが、使わない手はないと思います。

ふるさと納税する時期ですが、やはり年間の所得がわかってからの方が良いので、12月に集中しますね。

これまで、やってなかった方は、是非、ふるさと納税を活用して、各地の名産品等をGETしてみてください!!



こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

今日から、臨時国会が始まりました。

この時期は、来年の税制改正について、日々、新聞等で記事になっていて、年末には税制改正大綱が発表されます。


さて、今日は、富裕層に対する課税の厳格化についてお話したいと思います。

昔、といっても10年ぐらい前までは、海外に資産を保有しても、税務署で、それを把握することは困難だったわけで、富裕層を中心に、海外資産を利用した脱税が横行していたと思われます。

そのため、現在は、租税条約等による自動的情報交換が行われ、特に、海外金融資産については、CRS情報が公開されるようになりました。



CRSとは?


CRSとは、情報交換規定に基づいて、自国で非居住の個人や法人等が保有する金融口座情報の報告義務を金融機関に課し、それらを税務当局間で自動的に共有するため国際基準としてOECD加盟国によって定められた「共通報告基準(Common Reporting Standard)」のことを言います。

平成29年8月31日時点で、日本を含む 102 カ国が、平成30年までに自動的情報交換を開始することを表明しており、日本では平成27年度税制改正で制度を策定し、平成29年1月1日から施行されています。



国外財産調書制度の導入


海外資産は、金融資産だけではないので、CRS情報だけでは役不足だと言えます。

CRS制度の導入と話は前後しますが、課税庁は、富裕層の税逃れを把握するため、平成26年(2014年)に「国外財産調書」制度を導入しています。


対象となる国外財産としては、

・ 動産、不動産、借地権等

・ 預貯金、保険金、貸付金

・ 有価証券等(株式、社債等)

・ 仮想通貨

と広範囲になっています。


国外財産調書の提出(対象者等)

・ 12月31日時点で海外資産の合計額が5,000万円を超える国内居住者(非永住者は除く)

・ 翌年の3月15日までに、所轄税務署に提出


提出しなかった場合のペナルティー等

・ 虚偽記載や提出しなかった場合

⇒ 1年以下の懲役または50万円以下の罰金

・ 国外財産調書に記載した財産について所得税の申告漏れがあり、かつ、過去に国外財産調書を期限内に未提出、又は、申告漏れの国外財産の記載がなかった場合

⇒ 申告しなかった国外財産に係る所得税に対して過少申告加算税を5%加重

・ 国外財産調書を正確かつ期限内に提出していた場合

⇒ 所得税の申告漏れがあったとしても過少申告加算税は5%軽減



更に厳格化された国外財産調書

2019年7月、京都在住の会社役員が、知人の日本人男性名義で家具の輸出入販売を行い、2億円超の所得があったにもかかわらず無申告。

更に、脱税した所得のうち約7,300万円を香港の口座に入金していましたが、国外財産調書を未提出だったということで、大阪国税局に告発されたという事件がありました。


この事件を受け、令和威2年度の税制改正で、国外財産調書制度が更に厳格化されました。

・ 過少申告加算税等の加重の対象に、相続税の修正申告等があった場合を追加

・ 税務調査において、資料(取引記録など)を期限までに提出しなかった場合は、過少申告加算税を10%加重


また、令和4年度の税制改正で、更に、

総資産が10億円以上ある場合は、所得が5千万円以下であっても、国外財産調書の提出を義務付ける」ことが検討されるようです。


以上説明したとおり、課税庁は、富裕層の課税強化を進めようとしているのがわかると思います。

もし、制度に該当する方は、余計なペナルティを課されないよう、国外財産調書を正確に記載し、期限内に提出することをオススメいたします。



国税経験者からひと言


富裕層への課税強化については、国外財産調書制度だけでなく、武富士事件を契機に、出国する時に有価証券等の資産を1億円以上保有している者に対して課税する「国外出国時課税制度」も、平成27年に導入されています。

昔、NHK土曜ドラマ「チェイス~国税査察官~」で、パーマネント・トラベラー(海外を転々として税金を払わない人)を取り上げていましたが、現在、グローバル化とともに、まさしくドラマと同じような租税回避が行われ、課税庁も躍起になって、それを封じ込めようとしています。

私も、国税組織にいた頃、海外預金(20億円)を把握したものの、発生が10年以上前のもので、既に時効。歯がゆい思いをしたことがあります。

現在、税務署では、国税財産調書とCRS情報を照合し、提出漏れの海外資産がないかチェックしていると思われますので、ご注意ください!!


 こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

新種のコロナ株、オミクロンが発見され、今後、日本にも上陸するのでしょうか。

せっかく終息の兆しが見えてきたところでしたが、今後の感染状況には注視していかないといけませんね。。。


さて、今日は、個人・法人の事業主さんのオーソドックスな節税方法である「小規模企業共済」について解説いたします。

長く掛ければ元本割れすることがないので、「預金するよりお得」だと私は思っています。



小規模事業共済って、どんな制度?


基本的には、ご事業を経営されている方なら、誰でも入れる制度です。

事業主さん(個人や規模の小さな会社)は、サラリーマンと違って、退職金を貰えないわけで、それを公的な共済制度でカバー―しようというものです。


メリットとしては、

・ 掛金が所得税の計算上、全額所得控除の対象となります。

・ 掛金の納付期間が長いほど受け取るお金が増加します。

※ 個人事業を継続したまま小規模企業共済を20年未満で解約した場合は元本割れのリスクがありますが、廃業の場合は元本が100%戻ってくる仕組みになっています。

・ 貸付制度が利用できる。


掛け金は、

・ 月1,000円~70,000円の範囲で自由に設定できます(途中で、金額変更も可能)。

・ 1年分の掛金を一括で払うこともできます。


受取時の税制の取扱い

・ 一括で受け取った場合は、「退職所得」。掛けた年数に応じて控除が増えます。

・ 分割で受け取った場合は、「公的年金等の雑所得」。公的年金と同じ扱いになります。

※ 一括受け取りと分割受け取りの併用も可能


詳しい内容は、「中小機構」のホームページをご覧ください。

https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/index.html



 

実際の節税額はいくらになる?


ご存じのとおり、所得税は累進課税

したがって、所得が多い人ほど節税効果が高くなります!

(所得税の税率表)

2021-11-29 (2)

(注)平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として「×2.1%」が加算されます


例えば、小規模企業共済を年84万円掛けていて、課税所得が600万円ある方

⇒ 税率が20%の適用範囲内にあるので、840,000✖20%✖2.1% = 171,528 円

 なんと、171千円も税金が安くなります!


私は、節税効果もさることながら、現在の金利が1%も満たない時代に、84万円で、17万もの金利が付く預金なんてないです。

毎年、それだけ預金が増えると考えても良いわけです。



今年の利益が増加した方は、年払いに変更!


上記概要に記載したとおり、月払いで掛けていて、途中から年払いに変更が可能です。

したがって、今年は事業が好調で利益が上がりそうだという方は、掛金をアップするのと合わせて、年払いに変更することで、所得控除が増加→税金が安くなります。


ただし、その変更の申込みは、ホームページを確認すると、11月中旬までの受付となっています。

なので、この記事を書いたタイミングでは、もう今年は間に合わないこととなります。残念!

来年は、11月までに収支計算をして、もし利益が上がりそうなら、掛金アップを検討しましょう、



以上、小規模企業共済についてご紹介しました。

まだ加入されていない方は、是非、加入を検討してみてください。ただし、12月は非常に窓口が混むようです。やはり、年払いに変更する方などが集中するのかもしれません。



国税経験者から一言


私はサラリーマンでしたので、小規模企業共済には加入できませんでした。とても節税効果が高く、若い頃から入りたいと思っていました。

ところが、時代は変わり、小規模企業共済と同様、所得控除が全額できるiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)という制度が創設され、2017年1月からはサラリーマンも加入できるようになりました。

その頃、あまり、その制度を調べておらず、1年後に急いで加入したのですが、掛けれる期間は退職までの短い期間で、あまり節税になりませんでした。トホホ・・・。

今の時代、いろんな制度が創設・変更されているので、ネットを駆使して調べておくべきだったと痛感した次第です。




昨日に引き続き、所得税のネタとなりますが、ご一読いただければ幸いです。


あと1か月半で、今年も終わりますが、ちょうど年末調整の時期です。

その際に、奥様や子供さんが、配偶者控除や扶養控除になるかどうか判定しなければいけません。


そこで、よく間違えるのが「収入」と「所得」なんです。



18歳以下への10万円給付」の報道


今、コロナ対策で、18歳以下への10万円相当の給付が話題になっています。

公明党の公約では全世帯に配付。自民党は、それだとバラマキ批判につながる、ということで、所得制限を設けることで決着。


ニュースでは、「所得制限960万円」と報道していますが、果たして、それは正しいのか?


税法上、それは間違い!!


この960万円というのは、あくまでサラリーマン=給与を貰っている方を対象に、給与の「収入」が960万円ということなのです。「所得」ではありません!


給与の「所得」は、給与所得控除後となりますので、765万円となります。



サラリーマンでなく、事業等をされていて10万円給付を受けれる方は、765万円が所得制限となります。

今回の報道については、960万円ばかりが強調されていて、給与収入という前置がないので、誤解される方も多いのではないでしょうか。紛らわしい・・。



配偶者や子供さんが、配偶者控除又は扶養控除の対象になるかの判定も同様です。

例えば、奥さんにパート収入がある場合は、

基礎控除48万円+給与所得控除65万円= 103万円が限度額となります。


一方、不動産など給与以外の収入がある方は、48万円が限度額となります。




国税経験者から一言

所得が48万円を超えているのに配偶者(扶養)控除に入れていた方は、税務署から控除誤りがあるとの通知(呼び出し)が来て、追徴課税されることとなります。


昔は、本税以外に、加算税(ペナルティ)が掛かる場合があり、納税者の方から苦情を言われることが多々ありました。

しかし現在は、国税通則法の改正により、控除是正は「行政指導」と整理され、原則として、加算税は課されないこととなりました。


いずれにしても、後から税金を払うのは予想外の出費となります。

年末調整の際には、奥様や子供さんのアルバイトの収入を必ず確認いたしましょう!



はじめに

こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口卓士(たかし)です。

今日から、このホームページでブログを始めました。

内容としては、納税者の方の「為になる情報」を紹介していきたいと思ってます。

最近は、SNSの発達により、多く方が税に関する情報をつぶやいたりしてますが、その中には、誤解した内容も見受けられます。

そのため、税の入門編として、身近な情報を納税者の方にわかりやすく提供できればと思っています。

また、その際には、国税の現場を見てきた私なりの観点も付言できればと思っています。

どうか、よろしくお願いいたします。



 では、最初の投稿は、個人事業者の青色申告制度。ツイッターで見つけた誤解について、お話したいと思います。


ツイッターの内容

Aさん「副業だと、雑所得になるから、青色申告受けられない、ってことになります?

Bさん「青色申告することと、所得の有無は関係ないので、青色申告自体は問題なく可能です」


さて、どちらが正しいでしょう?

【[

 青色申告は、どんな所得でも無条件に申告できるものではなく、事業所得、不動産所得、山林所得しか受けれません


〇事業所得

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業から生じる所得のことを指します。ライターやデザイナー、プログラマーなどフリーランスとして活躍している人や、カフェや美容院、雑貨店などを運営している個人事業主などの所得も事業所得に該当します。


〇不動産所得

不動産所得とは、土地や建物などの不動産、不動産に関わる借地権などの権利、船舶や航空機の貸付に対して発生する所得のことを指します。マンションやアパート、賃貸物件の貸付の他、駐車場、貸地の不動産賃貸などから得られる収入が不動産所得にあたります。

ただし、55万円又は65万円の青色申告特別控除や事業専従者控給与等の特典は、その不動産所得の規模が、事業的規模でないと受けられません。具体的には、戸建ての場合は5棟以上、集合住宅の場合は10室以上というのが事業的規模に当たります。


〇山林所得

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡したりすることによって発生する所得のことをいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採や譲渡を行った場合は、事業所得又は雑所得となります。また、山林を譲渡した場合は、譲渡所得になります。



お節介税理士から一言】

所得税については、所得の性質に応じて、10種類に分類され、それぞれ所得計算が異なります。また、それに合わせて、その所得区分に応じた特典が定められています。

今回のケースが正に該当する事例で、最近は、サラリーマンの方(給与所得者)が、副業でメルカリ等のネット販売をしたりしてますが、その場合の所得区分は「雑所得」となりますので、青色申告はできないこととなります。


私の国税経験での中で、ビックリしたお話を最後に。

あるソフト会社に勤める方が、趣味でLINEスタンプを作成し販売。そのキャラターがとても可愛く、女子高生を中心にバズりました。その結果、得た収入が、な、なんと1億円超!!

でも、その方は会社員なので、その1億円以上の所得は「雑所得」で申告しました.。

いやー、今の時代、何でバズるかわかりませんねー。