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【DX】行政の「縦割り」は、データのプラットフォームで解消!?

年が明けて、あっという間に2月下旬。

今は、確定申告真っ最中!

1月下旬から、申告手続きでバタバタしていて、ブログの更新が進まず、申し訳ございません。

ようやく前哨戦が終わりましたので、久しぶりのブログ更新となります。


さて、先日、去年法人を設立したクライアントの申告を行いました。

が、その後、府税事務所、市税事務所から、立て続けに「法人の設立届出が出ていない」との連絡がありました。


今回は、その経験を踏まえて、行政の「縦割り」と、その解消について書きたいと思います。



国と自治体で取扱いが異なる「法人設立届」


今回の法人については、途中から関与したため、設立届は既に出しているものだろうと思っていて、先日、税務署、府税、市税の各事務所に、法人税等の申告を行いました。

ところが、府税・市税それぞれから、「設立届が出ていない」との連絡があり、クライアントに確認すると、税務署しか設立届を提出していないことが判明。


そこで、設立届について、WEBでググッてみると、

法人の設立届出については、

・ 税務署の場合は、会社設立日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

・ 一方、都道府県税事務所や市町村役場に提出する届出書は、自治体ごとに提出期限が異なっていて、例えば、東京23区の場合は会社設立日にかかわらず、事業開始日から15日以内、大阪府の場合は法人設立の日、または事務所設置の日から2か月以内など、自治体によって提出期限が異なっています


え~っ、国と自治体によって、提出期限が異なるって、どういうこと!

というのが第一の疑問・・・。



次に、府税・市税の各担当者から、設立届の際には、法人の登記簿と定款の写しを合わせて提出するようにとの指示。

こちらも、WEBでググッてみると、

・ 税務署は、定款、寄附行為、規則または規約等の写し

(以前添付が必要だった「登記簿謄本」は、2019年4月以降不要

・ 一方、自治体は、定款、寄附行為、規則または規約等の写しと登記簿謄本


え~っ、こちらも、国と自治体で、添付書類が異なっているではないか!

というのが、第二の疑問・・・。



eLTAXで設立届出を提出しましたが・・。


自治体に設立届出を電子申請するため、クライアントに連絡し、登記簿謄本と定款をスキャナして、メールで送信していただきました。


eLTAXは、何度か利用していて、国税のe-Taxとは作りが異なっていて、いつも操作方法に迷うのですが、ようやく慣れてきました。


今回の設立届については、まずは府税から入力。

「法人設立届」を選択して、所定の入力を行いました。

次に、市税です。

「法人設立届」を選択。入力画面が府税と全く一緒ではないか!


え~っ、府税で入力したデータを、そのまま市税にインポートできないの!?

というのが、第三の疑問・・・。



DX化で行政の「縦割り」を無くして欲しい


今回のケース、皆さん、どう思われましたが?

税理士なら、設立届ぐらい、ちゃんと知っておけよ!と言われそうですが・・。


これだけ扱いが異なるというのは、政府が進めているDX化もまだまだだなぁ~と思った次第です。

例えば、法人については、設立登記すると「法人番号」が付され公表されています。

つまり、登記情報に基づき法人番号が付されるので、税務署の設立届については、登記簿謄本は省略されるようになった訳です。


自治体は、国税庁の「法人番号公表サイト」で確認すれば良いわけで、あえて登記簿を添付させる必要はないのではないでしょうか。


また、府税と市税それぞれで、設立届出を提出する必要はあるのでしょうか。

eLTAXでデータ連携すれば、ワンライティングで良いのではないでしょうか!



面白い記事(論説)を見つけました


以上の疑問を解消してくれる記事を見つけました。

税務大学校が発行する「税大ジャーナル」というのがあり、ホームページで公開されています。


その2024.2月号の記事

事業者DXのための民間と各税・社会保険当局の役割

-データの分断・重複を避けるためにはどうしたらいいのか-

熊本国税局長 初谷武志


https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/journal/saisin/0024002-001_hatsugai.pdf


初谷さんは、私が大阪国税局に在籍していたとき、総務部長をされていて、お世話になった方です。


その内容ですが、要約すると、

・ 民間の会計ベンダーでは、データ連携が進んでいる

・ 行政は、行政の機能分担によって乱立している状況

(行政の機能分担については、注釈で「公務員としては使いたくない言葉だが、「縦割り」のこと」と述べられている)

・ 国と自治体で、データの相互利用を促進すべき

・ そのためには、行政で保有するデータの「プラットフォーム」を創設すべき


非常に興味深い記事だと思いましたので、紹介させていただきました。



編集後記


久しぶりのブログ更新で、長文となってしまい、申し訳ございません。


私も国税局時代、e-Taxを推進した人間ですので、行政のDX化については熱い想いがあります。

私としては、マイナンバー、法人番号、インボイス番号などの導入により、様々なデータを紐付けできる環境は整ってきたわけですから、もっともっと利便性と効率化のためにDX化を推進して欲しいと思います。


さて、確定申告も、後半戦に突入!

所得税も法人税も、今やパソコンなしでは、申告できない時代になっています。

e-Taxで送信されたデータについては、自治体との連携など更なる有効活用を期待しています。


【2024.03.18更新】

法人の設立届出については、国税庁のe-Tax(WEB版)を使えば、地方税も含めて一括で提出できるようになっているのを確認しました。

上記記事を訂正いたします。ただ、あまり広く周知されていないような。。。


以下の記事を紹介しておきます。参考になさってください。

・ e-TaxからeLTAXへの直接連携が可能に e-TaxソフトWEB版の法人異動届出

https://kurihara-office.com/200331etax-web-notification2