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こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
2週間ぶりの更新となります。
今週は、セミナー講師を2回やりました。
一つは、納税協会の「インボイス制度と電子帳簿等保存法」
当初2回のセミナー開催を予定してましたが、受講希望者が殺到し、都合7回、1月までセミナーを開催することとなりました。嬉しい悲鳴⁉
セミナー終了後に多くの質問を受けておりまして、その内容を、セミナーの資料に取り込みバージョンアップしています。
電子帳簿等保存法にご興味のある方も多いですね。
もう一つのセミナーは、出身大学である関西大学の会計職専門大学院(梅田キャンバス)での講義。
「個人課税の論点」として、こちらは所得税の有名な判例を紹介して、グループ討議を行いました。
競馬の馬券払戻しの課税関係など、身近な話題を中心とした講義で、それなりに所得税についてご興味を持っていただけたかなと思っています。
さて、この「インボイス制度」のブログ。前回はラス前、今回で終了を思っていましたが、納税協会のセミナーでのご質問が多かった内容を含めて、あと2回ぐらいはブログにアップしたいと思います。
今回は、消費税の端数処理。インボイス制度では、取扱いが変わりますので、要注意です!!
国税庁のQ&Aの解説を見てみると、
適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。
なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます。
(注) 一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません。
と解説されています。
(ポイント)
○ 現行の区分記載請求書では、消費税額が記載事項になっていないため、端数処理のルールは定められていなかった。
○ 一方、インボイス制度では、端数処理のルールが定められ(一のインボイスにつき、税率の異なるごとに1回)、税率ごとに合計した対価の額に税率を乗じて消費税額を求めることになる。
○ これまで、レシート等で「明細行」ごとの端数処理を行っている場合には、システムを改修する必要も。
次の記載例を見ていただくとわかるとおり、1円単位で消費税額が変わってしまいます。
業種によりますが、例えば、スーパーが飲食店に食料品等を卸していて、配達の都度、消費税を記載した「納品書」を渡すとともに、翌月、ひと月分の取引金額を記載した「請求書」を発行している場合があります。
この場合、納品書が「一の適格請求書」=インボイスとなると国税庁は言っています。なので、月次請求書は、インボイスになりません。
その月次請求書に基づいて会計処理を行った場合、やはり端数処理の関係でズレが生じてしまうことがあります。
請求書発行システムと会計処理システムが一体となっていれば、ズレは生じないのですが、そのようなシステムを導入しているケースは少ないと思われます。
この点について、財務省担当官が参加した座談会で「ひと月分の請求書で会計処理を行った消費税額でも認められる」と話されていますが、国税庁HPでは正式なコメントを発表していません。なので、今後、Q&Aに掲載されるかどうか注視していきたいと思います。
インボイス制度は、ヨーロッパで導入され、それをベースに日本で導入されようとしています。
ただ、上記の「納品書 + 月次請求書」といった事例は、日本独特の商慣習であり、インボイス制度を定着させるためには、今後、業種ごとの取引実態に沿った取扱いをQ&A等で公表していく必要があると感じています。
次回は、私がセミナーの講師をやっていて、「特に多い質問」を紹介したいと思ってます。
乞うご期待⁉