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こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
暑い暑いと思っていたら、いつの間にか9月になりました。
令和5年も3/4を経過。月日が経つのは早いもんですねー(汗)
インボイス制度も、導入まで1か月を切りました。
ご事業をされている方は、インボイスの登録申請はお済でしょうか?
申請から登録まで、書面で最長2か月半、電子申告で1か月程度掛かるようですので、お早めに申請された方が良いと思います。
ただ、令和5年9月30日までに申請すれば(郵送の場合の9月30日の消印があれば)、令和5年10月1日から登録事業者になれます。
登録通知は10月1日以降となりますが、取引先には、通知が来た段階で事後的に連絡すれば大丈夫となっています。
さて、電子帳簿保存法ですが、前回のブログで「ダウンロードの求め」について解説しました。
電子取引データの保存については、猶予措置で「相当の理由」があれば「検索要件」が不要になりましたが、その代わりに、税務署員から「ダウンロードの求め」に応じなければいけません。
今回は、税務署員が、電子データをどのようにダウンロードするのか、またダウンロードしたデータをどのように活用するのかについて、解説したいと思います。
なお、私は、元国税職員なので、退職しても「守秘義務」が課せられているため、あくまで一般論として、現在ある各種ICTツールなどの技術的見地から、今後想定される調査方法を述べることとします。
ネット検索すると、パソコンのHDD内のデータをごっそり複写(クローン複写)するツールが紹介されています。
https://www.pro.logitec.co.jp/about_hdd/hddssd/20201016/
また、警察では、事件解決のため、「デジタルフォレンジック」ツールを使って、消去されたデータの復元や解析を行っています。パソコンだけでなくスマホなどあらゆる電子機器に対応してます。
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/what-we-do/digitalforensics.html
クローンツールは、相当以前から存在していました。
また、デジタルフォレンジックツールについては、警察で使っているということは、税務署でも使っているというのは、容易に想像できます。
ということで、「ダウンロードの求め」に応じれば、調査担当者は、
・ パソコン内のデータをごっそり複写
・ 消去したデータを復元
・ パソコンだけでなく、スマホのデータも分析
・ クラウドを利用している場合は、そこに保存しているデータも分析
といったことが、今後の調査において当たり前のように!?行われる可能性があると思われます。
今後の調査においては、取引先の電子データや会計ソフトのデータをダウンロードされる(=複写されて税務署に持ち帰られる)と想定しましょう。
取引先との決済等の情報は、会計ソフトの仕訳データに反映されています。
会計ソフトの多くは、エクスポート機能があり、CSV形式で保存することができます。
CSV形式であれば、他のソフトにインポートすることができますよね!
なので、ダウンロードした会計データを、エクセルにインポートすることもできます。
インポートすれば、エクセルの機能(検索、ソート、ピポッドテーブル等)を使って、取引(決済、仕訳)の分析が可能となるわけです。
「紙」の帳簿の場合は、エクセルに打ち込んだり付箋を付けたりして分析するしかありません。それも相当事務量が掛かることでしょう。
それが、「ダウンロードの求め」でデータを持ち帰ることができれば、パソコンを使って、縦横斜めから!?分析ができ、調査の効率化が図られることになると思われます。
売上を誤魔化していた納税者に、税務署から調査の事前通知が来たとしましょう。
その納税者は、調査が始まるまでに、誤魔化していたデータは消去しておけば大丈夫と考えていました。
ところが・・・。
昔であれば、それで誤魔化せたかも知れませんが、現在では、上述したツールを使えば消去されたデータが復元可能です。
具体的には、納税者のパソコンのHDDをクーロン複写した後、フォレンジックツールを利用して消去されたデータを復元するわけです。
ただ、一般的な調査では、税務署はそこまでしないでしょうね。
仮装隠蔽が想定される悪質な納税者に対する調査(特別調査や査察調査)では、これらのツールを活用した調査が行われるものと思われます。
記事が長くなってしまいましたので、今回はここまで。
お読みいただいた感想は、いかがでしたでしょうか?
「ダウンロードの求め」に応じれば、上記のような調査が行われる可能性があるわけで、電子帳簿保存法が改正された「真の目的」はここにあるのではないかと私は思っています。
「怖い」と感じられた方もいるのではないでしょうか?
次回は、国税庁が公表している「税務行政の将来像」を参考に、AI(BAツール)を活用した調査手法について解説したいと思います。
乞うご期待!