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【電子帳簿等保存法】「ダウンロードの求め」って何?

こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


暑中お見舞い申し上げます。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

先日、大阪の枚方では、最高気温39.8度を記録し、日本一暑い街との報道がありました。

ずーっと良い天気が続いていて、ホント「危険な暑さ」だと思います。


この暑さで、だんだんマスクする人も減ってきたようですが、今、コロナも流行っていいて、今年の夏は、熱中症とコロナの両方に注意しなければならず、どうかご自愛いただきますようご注意されてください。


さて、前回のブログでは、電子帳簿等保存法の猶予措置の適用要件である「相当な理由」について解説いたしました。

この猶予措置は、「検索要件」が免除されるだけで、電子取引データの保存義務が免除されるわけではありません

そして、税務署員から「ダウンロードの求め」があった場合は、保存していた電子取引データを提出する必要があります。


というわけで、今回は、「ダウンロードの求め」の具体的な意義(内容)について解説したいと思います。



そもそも令和5年度税制改正の「猶予措置」とは!?


前回のブログで「相当な理由」を解説しましたが、先に、令和5年度税制改正で規定された「猶予措置」の内容を説明しておくべきだったかと・・。

ということで、「猶予措置」の概要は、以下のとおりです。


令和6年1月1日以降も、以下の全ての条件を満たす場合は、電子取引の電子保存義務化が猶予される。⇒ 全事業者が対象

・ 保存要件に従って保存することができない相当の理由がある場合

・ 所轄税務署長が相当の理由があると認めた場合

・ 税務調査の際に、ダウンロードの求めに応じられる場合

・ 税務調査の際に、出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力)の提示・提出の求めに応じられる場合


はい、ここで、ダウンロードの求めが出てきます。

その求めに応じるためには、電子取引データを保存しておく必要があり、現行のように出力書面の提示だけでは許してもらえなくなる、ということなんです。


ちなみに、商工会議所のリーフレットには、データを渡せる状態にしておけば「従前の保存方法のままで良い」と掲載されてますが、そんなに簡単な話ではないと思います。


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「ダウンロードの求め」に応じる意義


取扱通達4-14では、次のように記載されています。

(電磁的記録の提示又は提出の要求に応じる場合の意義)=抜粋=

税務職員から提示又は提出の要求(以下「ダウンロードの求め」)があった場合に、そのダウンロードの求めに応じられる状態で電磁的記録の保存等を行い、かつ、実際にそのダウンロードの求めがあった場合には、その求めに応じることをいうのであり、「その要求に応じること」とは、当該職員の求めの全てに応じた場合をいうのであって、その求めに一部でも応じない場合はこれらの規定の適用(電子帳簿等保存制度の適用・検索機能の確保の要件の緩和)は受けられないことに留意する。


また、国税庁HPに掲載されている「取扱通達解説(趣旨説明)」に、更に具体的な内容が記載されています。

長文なので、要約すると、以下のようになります。

・ ①税務職員からのダウンロードの求めに応じられる状態で電子データの保存を行い、②実際にダウンロードの求めがあった場合には、その求めに応じる必要がある。

・ 職員が求めた全ての電子データの提出に応じる必要があり、そのデータにおいて常時出力可能な範囲で、求めに応じた方法(例えば出力形式の指定)で提出する必要がある。

※ 「求めに応じた方法」が満たされていないケースとしては、

〉求められた帳簿データの一部について、電子データの提出に応じない

〉CSV形式で出力可能にもかかわらず、検索性に劣る他の形式で提出

といったことが考えられています。


この「ダウンロードの求め」、取扱通達を読んでみると、非常に厳しい規定だと思いませんか⁉

さらに類推すると、

・ 「全ての電子データ」の提出に応じる必要があるため、メールやメモ等のデータも対象となる!

・ 適正に電子データを保存していない場合は、青色申告の承認を取り消される場合も有り得る!

と考えられます。


いかがでしょう。猶予措置が出来たから「ひと安心」、「先送りできる」というわけではないですよね・・。


編集後記


今回は、前回の「相当な理由」に続き、「ダウンロードの求め」深堀りしてみました。

電子帳簿やスキャナ保存は、あくまで「任意」の規定ですが、電子取引データの保存は「義務」。

そして、その保存したデータについては、猶予措置で「検索要件」は不要になったとしても、税務署員に全てを見せなければならない。

これまでは、パソコンの中身を見せてくださいといった調査は、ごく稀だった思いますが、これからは、データダウンロードされる調査が当たり前になるかも知れません!


ということで、次回のブログでは、では、税務署員は、どのようにしてデータをダウンロードするのか。そして、そのデータをどのように活用しようとしているのか、ご紹介したいと思います。

乞うご期待!