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【電子帳簿等保存法】今後、調査の方法が変わる!?② 国税庁のDX戦略

こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


阪神タイガース、とうとう「アレ」しちゃいましたね!

関西は、「アレ」旋風で、非常に盛り上がっています。


でも、全国的な話題として、他にも「アレ」が2つあると思ってます。

ひとつは、この10月から始まる「インボイス制度」です。

そして、もうひとつは、来年1月から始まる「電子帳簿保存法」。


この2つの「アレ」は、事業者にとっても、税理士にとっても、事務コストが掛かるという点で、相当悩まれているのではないでしょうか。。。


さて、シリーズで掲載してきた「電子帳簿保存法」。

今回は、前回に引き続き、改正電子帳簿保存法の導入により、これからの税務調査がどのように変わっていくかについて、解説したいと思います。



国税庁発表「税務行政の将来像2023」


国税庁では、「税務行政の将来像」を令和3年6月に発表しました。

毎年、その内容がリニューアルされ、令和5年6月23日に、最新の内容に更新されています。


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https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation2023/pdf/syouraizo2023.pdf


表題は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」となっていて、要は、DXを推進して、税務行政のサービスの向上や業務の効率化を図る内容となっています。


この資料を読むと、オンライン化により、例えば、税務相談のチャット化や年末調整の簡便化、キャッシュレス納付など、納税者利便がこれまで以上に向上する施策が紹介されています。

数ある省庁の中で、ここまで取り組んでいるのは国税庁ぐらいではないでしょうか。素晴らしい!


一方で、業務の効率化については、20ページに「課税・徴収事務の効率化・高度化等

<“データの活用”の徹底>」というのが紹介されています。



これからはAIを使った調査に移行!?


この資料の21ページです。

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ちょっと文字が小さくて読みにくいかと思いますので、真ん中の図を拡大してみましょう。

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「◆BAツール ・ プログラミング言語を用いてデータを分析」と書かれています。

そして、BAツールとは、

BA( Business Analytics )ツール 蓄積された大量データから統計分析・機械学習等の高度な分析手法を用いて、法則性を発見し、将来の予測を行うツール

と解説されています。


一番左の図には、「◆様々なデータを収集し 、 分析用に加工」と書かれています。



そろそろお分かりになった方もいるのではないでしょうか。

そうなんです、前回のブログで解説したとおり、電子帳簿保存法の「ダウンロードの求め」で取得したデータは、

⇒ 申告事績や資料情報などで収集したデータとマッチング

⇒ BAツールを使って分析(異常検知)

⇒ 不正(脱税)の把握

という流れで、今後、調査が行われるようになると思われます。


この資料を読み解くと、今回の電子帳簿保存法の「取引データの保存義務化」は、国税庁のDX戦略に沿って改正されたとも考えられます。



ところで、BAツールって何??


ネット検索すると、様々なBAツールが紹介されています。

で、BAツールの主な機能は、「データマイニング」が挙げられます。

NECのホームペジには、次のように紹介されています。

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◆データマイニングの概要

・データマイニングとは、大量のデータに対して統計学やAIなどを駆使した分析を行い、何らかの知見を得るための活動のことです。「マイニング」は日本語で「採掘」と訳されます。大量のデータを鉱山に見立て、鉱山から知識という鉱物を掘り当てるイメージをするとわかりやすいでしょう。

・近年はIoT技術などの発達により、リアルタイムで大量のデータを分析するケースが増加しています。その際、あわせてデータマイニングが行われることも増えているのです。

・データマイニングの目的は、データ同士の関連性や予想される事象の発生確率を見出すことです。特にマーケティングの分野では、過去のデータから市場動向、顧客の嗜好性などを予測する目的でデータマイニングが活用されています。

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面白い事例を紹介しますと、

① POSシステムというのがあります。スーパーのレジで導入されてますよね。

消費者が購入した商品のデータを集約して、在庫管理だけでなく売上の動向等を分析できるようになっています。

で、POSシステムで得られたデータをBAツールで分析。その結果、「缶ビールと紙おむつが一緒に買われている」のが判ったそうです。

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② 車両事故の損害賠償請求について、損害保険会社では、BAツールを使って、不正請求を把握しているそうです。

今話題になっているビッグモータの事件も、BAツールを使えば、バッチリ解明される!?


ということで、国税庁でも、BAツールを使って調査事務の高度化を図ろうとしているわけです。



編集後記


以上、国税庁のDX戦略と、電子帳簿保存法の改正の密接な関係について解説してみました。


前回のブログでも書きましたが、「ダウンロードの求め」は、BAツールを利用した調査を前提に規程されたものではないかと。で、電子帳簿保存法が改正された「真の目的」はここにあるのではないかと私は思っています。


まだまだ書き足らないことがありますが、今回は、このあたりで筆を置きたいと思います。