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★どうする?飲食代の交際費・・。

こんにちは。大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


梅雨入りで、大阪は、ずいぶん蒸し暑くなってきました。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

なんだか、コロナ感染者も増えてきているようで・・。


今日は、東納税協会で、「電子帳簿等保存法&電子インボイス」のセミナー講師を務めます。

皆さん、関心が高いようで、受講希望者が殺到。急遽、会場を変更して、90人ほどの方が来られます。

やはり、「楽々精算」等のコマーシャルで、不安に思っている方が多いのかな!?

今日のセミナーでは、令和5年度税制改正の内容を解説し、CMに騙されないよう注意喚起してきたいと思います(笑)


さて、これまでDX講座をシリーズで解説してきましたが、今回は、久しぶりに、「税法」にまつわるお話を。


毎日、税務に関するホームページをチェックしていて、その中で気になった記事を紹介したいと思います。

ちょっと、ユルい話もさせていただきますが、お付き合いいただければ幸いです。



飲食店で気になる「領収書ください」の声


私、ラーメンが大好きなんです。

いや、正確に言うと、つけ麺が大好き!


私が国税庁にいた平成15年ごろ、大阪には、つけ麺をやっている店がなかった。東京に単身赴任して、初めて、つけ麺なるものを食べ、最初は、その麺の多さにビックリしたものですが、これは東京の文化だと。

スープではなく、麺を楽しむのがつけ麺。

冷水で〆られた麺を、一気にズルズルと、のど越しを味わいながら食べていく。

そうですね、高松のぶっかけうどんのようなものでしょうか。


大阪に帰ってきてから、大阪でもつけ麺を出す店が増えてきまして、今でも、いろんなお店を来訪しています。


おいおい、どこが「税法」と関係あるねん!?と思われますね。すみません。ここからが本題です。


東京には、元祖つけ麺店で「大勝軒」というお店があります。

大阪にも、梅田、日本橋にも、弟子入りされた方がお店を開いていましたが、閉店。

残っているのは、尼崎にある「和楽大勝軒」のみ。

https://tabelog.com/hyogo/A2803/A280304/28043074/


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先日、そのお店に行ってきまして、「あぁ、懐かしい味だなぁ・・」と、ガシガシ麺を食べていると、先に食事を終えた家族のお父さんと思われる方が、

「領収書、ちょーだい」

と言って勘定を済ませていました。。。


他の店でも、そういう人を見かけます。

なぜ、家族で食べに来ていて、領収書がいるのでしょう・・・。

そうなんです、商売をしていて、その飲食代を「経費」にするためだと。


そういう光景を見ると、税理士をやっている私的には、「何みみっちいことやってんねん、脱税やないか!」と、いつも不快になります。



そもそも交際費は、損金不算入


交際費課税については、過去のブログ(2021年12月)で、解説させていただいてます。

★交際費課税の歴史を紐解く


交際費は、原則は、損金不算入で、現行、特例で認めてられているわけです。

そして、国税庁HPには、

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。

と規定されています。


ですから、家族で飲食した費用なんて、当然、交際費にならない。いくら特例があったとしても、それを故意に損金に含めるのは、ダメでしょう。


納税者の中には、何でも経費に付け込んで、税務署から言われたら直したらよいなんて方がいますが、家族で食事をして領収書を受け取っている父親を子供が見てます。子供の教育上も良くないと思いませんか⁉



取引先と飲食。損金算入には、契約の締結など具体的な事由が必要か?


ここからは、いつも参考にさせていただいてるHPからの引用です。

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法人が支出した飲食等の代金等が、中小法人損金算入特例の対象となる交際費等に該当するかどうかが争われた事案(東京地裁民事3部令和5年5月12日判決)。


東京地裁は、「単に人脈を広げるという抽象的な必要性があるというだけでは、業務との具体的な関連性があると認めることはできない」として、一部の交際費等該当性を否定

「法人の支出した飲食等の代金が交際費等に該当するためには、その支出の目的が一般的・抽象的なものでは足りず、具体的に当該法人の業務と関連性があるものであることを要する」との考えを示した。

ただ、「法人が支出した個別の飲食等に係る接待交際費と、その後相手方との間で行われた個別具体的な取引・契約等の厳密な結び付きが認められない限り、業務との関連性が認められないと解する必要はない」とも言及した。

********


上記判決の要旨を読むと、

・ 人脈を広げるといった抽象的な目的では、交際費として認められない。

・ でも、個別具体的な事由(契約の締結等)までは要求されない。


おいおい、どっちやねん!?

と思ってしまう判決ですが、あくまで上記の情報だけでは、なんとも言えない。

推察するに、相当ひどい付け込みがあったのでしょう。

その中に、一部、交際費として認められるものもあったので、「一部の交際費等該当性を否定」したのだと思います。


いずれにしても、調査においては、業務関連性を確認(追及)されると思いますので、そこはシッカリ、記帳する際に、営業等担当者に確認しておく必要があると思います。



編集後記


今回は、つけ麺の話から始まりましたので、なんかユルユルの内容になってしまって申し訳ございません。

でも、「おいおい、家族でつけ麺食べて「経費」って、なんなん?」と、無性に腹が立ったので、特別寄稿!?させていただきました。


税理士をしていると、クライアントから「これは経費にならないのか?」といった質問を受けることがあると思いますが、その時は、

「あなたの胸に手を当てて、事業の用に供すべき経費なのか自問自答してください」

と言ってやりましょう!

って、私は、まだ、そこまで言ったことはありません(^^;