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★国会議員の文通費。民間企業は「概算経費」が認められてますけど~!

こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

12月も中旬。いよいよ年末に向けて足り出しましたね。焦ります(^^;


さて、先週から、国会も始まりました。今日から本戦=予算委員会も始まります。

その国会で今問題になっているのが「文通費」。正式には、「文書通信交通滞在費」と言います。

月100万円が領収書無しで認められ、野党は、「民間企業では、領収書添付が当たり前!」と法律改正を迫っています。

確かに正論だと思いますが、いちいち領収書を添付・細かく日々記録するのは面倒だと思います。


でも、民間企業では、領収書要らずで損金に認められる制度があるのです。

出張旅費規程

これを使えば、節税になりますし、業務の効率化にも繋がります。



出張旅費規程とは?


出張旅費規程とは、出張などの旅費について会社で取り決めたものです。法律上、旅費規程の定めはないので、個々の会社が妥当だと思う金額で決めることができます。


例えば、大阪ー東京出張であれば「旅費15,000円」、「日当5,000円」、「宿泊12,000円」、タクシー利用の場合は「1回3000円以内」といったもので、法人格である会社のみが定めることができます。


旅費規程として大きくは、出張手当、交通費、宿泊費の3つに分類されます。

(出張手当)

出張日当は定額精算となり、特に領収証は必要ありません。

出張手当の趣旨ですが、

・ 例えば、電車の時間待ちで喫茶店に入る。車内で新聞を買う。

・ 出張の場合は、自宅と違って必然的に外食になり、余計にお金が掛かる。

など、出張時に掛かる支出の弁償で、使い道にある程度自由度が認められているものと考えます。

また、役職によって、その金額にランク分けすることも出来ます。


(交通費)

移動に使う新幹線代や飛行機代などが対象になります。

実費精算のほか、定額精算とすることができます。

・ 実費精算の場合は、領収証と引き換えにその代金を受け取るというシンプルな方法

・ 定額清算の場合は、出張の場所や距離、利用交通機関ごとに金額を定めて精算する方法で、領収書の提出を要しません。


(宿泊費)

交通費と同様、実費精算のほか、定額精算とすることができます。

定額精算の場合は、時期や地域ごとに標準宿泊料を定め、こちらも領収書の提出は要しません。



出張旅費規程のメリット


1.旅費精算の事務量を大幅に削減

実費精算の場合、出張ごとに「ホテルはここを使った」「電車を乗り継いで片道いくらだった」など、一つ一つの経費を積み上げて計算しなければならず、出張した社員にとって、非常に面倒で事務量が掛かります。

一方、経理部署においても、申請された経費のチェックや領収書の管理など、膨大な事務量を要します。これを解決しようとするものが「定額清算」による出張旅費規程です。

距離や日数などに応じて固定額支給にすることで、社員・経理部署双方の、煩わしい事務作業を大幅に削減することができます。


2.実費精算より節税できる

〇 会社は、定額清算の出張費を全額損金計上

⇒ 例えば、実際に掛かった旅費が12,980円であっても、定額清算で15,000円を支給すれば、その差額2,000円分多めに損金計上・節税できます。

〇 社員は、受け取った旅費は非課税

⇒ 所得税法上、会社から支給された出張旅費は、非課税となります。

例えば、所得税率10%の社員であれば、住民税と合わせて20%の節税となります。


3.従業員間の不公平感をなくせる

例えば、社員によって宿泊するホテルに値段の差があったら、不公平ですよね。

どんなホテルを予約しても一律の手当にしておけば、不満はなくなります。

高いホテルに泊まりたければ、自分で差額を負担する。また、安いホテルにすれば、残ったお金はお小遣いにできたりしますね。



出張旅費規程を定める際の注意点


・ 対象者は全社員にする

⇒ 出張旅費規定は役員を含む全社員が対象でなければなりません。

・ 出張旅費規定の承認

⇒ 出張旅費規程は、株主総会、取締役会等で承認を受ける必要があります。

・ 支給金額の設定の妥当性

⇒ 旅費の支給額は、他の会社が支給している金額と比較して妥当なものである必要があります。いわゆる「社会通念上、相当な金額」ということですね。

・ 出張報告書の作成

⇒ 税務署対策として、出張報告書を作成し、現地での業務等を記録しておく必要があります。



国税経験者からひと言


昔は、税務署でも「定額清算」により旅費が支給されていました。

しかし、時代の流れとともに、実費精算に変更されました(税金の無駄遣い!?)

上述したとおり、実費清算に変更になって、旅費事務がめちゃくちゃ大変になりました。その結果、税務職員の本来の仕事である調査事務量が圧迫されることに。。。


今、国会で、議員の文通費が問題となっていますが、「すべて領収書付けろ!」という野党の意見は確かに正論ではあります。

一律100万円は問題があるにしても、簡便な方法を残しておいた方が、圧倒的に事務量は掛からないです。その浮いた事務量を、国会議員本来のお仕事に打ち込んで欲しいと思うのですが、いかがでしょう・・!?


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