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★インボイス制度⑪ 速報!令和5年度税制改正大綱で、更なる緩和措置!

おはようございます、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


サッカーW杯、日本は惜敗。残念でしたが、日本全体を沸かせてくれました。選手の皆さん、ご苦労様でした。


昨日は、南納税協会で、第6回目の「インボイス制度・電子帳簿等保存法」のセミナー講師を務めました。参加された皆さんは、熱心に聴講されていて、インボイス制度等に対する関心が高いのがわかりました。


さて、令和5年度税制改正大綱が、明後日(12月16日)に発表されるようです。

その中で、インボイス制度の緩和措置が盛り込まれるようで、今回は、速報!として、Twitterから入手した資料に基づき解説したいと思います。


1. 小規模取引、インボイスなしでも控除可能へ


(令和4年11月18日 朝日新聞の記事から抜粋)

来年10月に導入される消費税のインボイス制度について、政府・与党は少額取引の場合はインボイスがなくても税額控除できるようにする期限付きの特例措置を設ける方針を固めた。対象の取引額は1万円未満とする案が浮上している。制度の導入に伴う小規模事業者の負担を軽減する狙い。

政府・与党は数年間に限り、一定額以下の取引については、従来通りインボイスなしで控除を認める方向だ。期間や対象取引額などの詳細は、今後の与党税制調査会で詰め、12月中旬にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。

取引額については「1万円未満」とする案のほか、一部業界からは「3万円未満」とする要望がある。ただ、額が大きくなるほど、正確な納税を促すインボイス制度の目的に逆行しかねない。

特例措置の対象となる事業者は絞られる見通しで、年間売上高が1億円以下の事業者に限るとする案が上がっている。


Twitterから入手した税調資料は、以下のとおりです。

税調1



2. 少額な返還インボイスの交付義務の見直し


上記1は年間売上高が1億円以下の事業者に限定されていますが、この措置は、全課税事業者に適用されます。1万円未満の取引(値引等)については、インボイスが不要となります。

返還インボイスについては説明を省略しますが、要は、前回のブログで解説した「銀行等の振込手数料を負担した場合のインボイスの取扱い」については、この措置により、インボイスが不要(帳簿の保存でOK)になるということです!


Twitterから入手した税調資料は、以下のとおりです。

税調2



3. インボイス、課税業者に転換で税負担軽減へ 3年間は売上税額の2割


(令和4年11月20日 朝日新聞の記事から抜粋)

来年10月に導入される消費税のインボイス制度について、政府・与党はフリーランスなど小規模事業者の負担を抑える新しい期限付き特例をつくる方針を固めた。

消費税の納付義務が免除されている「免税事業者」がインボイスを発行するために「課税事業者」に転換した場合、3年間は売上税額の2割を納めれば済む方向で検討する。円滑な制度導入を促すねらいがある。

小規模事業者が課税転換すれば、業種ごとに定められた仕入れ率で納税額を計算できる「簡易課税」の適用を受けられる。


簡易課税制度の2割版ということですかね。

この場合、事前の届出を必要とせず、通常の消費税の算出額と比較して、どちらか低い税額を選択するようになるとのこと。

現在は免税事業者で過去に簡易課税を選択した人も、事前の届出は必要ないようです。


Twitterから入手した税調資料は、以下のとおりです。

税調3



編集後記


前回のブログで記載した電子帳簿等保存法もそうですが、インボイス制度も、なんかグダグダになってきました。

上記1については、何故、年間売上高が1億円以下に限定するのでしょう。何故、1万円未満なんでしょう。全事業者を対象に、現行通り「3万円未満」でも良いのではないでしょうか⁉

上記2については、上記1ついて全事業者を対象にすれば、特に規定する必要はない!?


上記3については、免税事業者の登録申請が進んでいないようで、政府としては、なんとか登録事業者=課税事業者になって欲しいという思惑が見え隠れしています。

ある税理士さんのブログに、「免税事業者もインボイスの発行を認めてはどうか」という意見をされていました。

確かに、インボイス制度の趣旨が「売り手が買い手に対して、正確に適用税率や消費税額等を伝える」ためだということであれば、免税事業者もインボイスを発行できるようにすればよいと思います。免税点(1千万円)の見直しは、別にすれば良いと思うのですが・・・。


いずれにしても、インボイス制度の法律を作った際に、事業者の実情や日本の商慣習等を踏まえた議論や検討をしてこなかった。そのため、いわば「小手先」で特例措置を追加しているという感が否めません。

私は国税出身ですが、財務省主税局は、法律を作る前に、現場を知っている国税庁と、もっと意見交換をしてほしかったと思っています。