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★25年ぶりに納税相談を経験して、納税環境の変化を感じた!

こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。


所得税の確定申告期限である3月15日を過ぎ、ようやく落ち着いてきました。

コロナによる個別の期限延長のほか、3月14日からe-Taxの接続障害が発生するなど、今年の確定申告は例年にも増して、繁忙であったのではないでしょうか。


私的には、

・ 国税局と税理士会の共催による「確定申告コールセンター」の従事

・ 納税協会が主催する税務相談の支援

・ 大手税理士事務所でのお手伝い

などをさせていただき、思いのほか忙しかったわけですが、非常に勉強になりました。


実は、25年前に税務署勤務時(上席調査官)に納税相談をして以来、去年退職するまで、直接納税者と個別の相談をすることが無く、税理士になって久々の納税相談を体験させていただきました。

25年という月日が経ち、税法が変わり、申告方法もICTが主流に。

ということで、今回の経験を踏まえ、「税務環境の変化」について、忘備録的に書き留めておきたいと思います。



電子申告が普及し、添付書類の省略が半端ない!


昔の話で恐縮ですが、25年前は、例えば、次のような書類が添付(提示)要件となってました。

・ 源泉徴収票

・ 医療費の領収書

・ 寄付金の証明書 など


しかし、電子申告を行う場合は、上記書類は添付省略することとなりました。

更に、現在では、紙の申告であっても、源泉徴収票や医療費の領収書の添付が不要となりました。

医療費については、昔は、沢山の領収書が申告書に付いてきて、税務署も、それを整理・保管するのが大変でありました。税務署に提出されてものは「行政文書」となりますので、昔は申告書と同様、7年間保管していました。その後、最長2年保管に変更されたわけですが、現在は、「医療費の明細書」を添付するだけで済むように。その代わり、領収書等を申告者側で、5年間保存していただくようになりました。


またまた医療費の話で恐縮ですが、昔は、「医療費のお知らせ」は領収書ではない!ということで、その書類を添付していた申告者に対して、後で、領収書を添付するよう連絡(行政指導)を行っていました。今は、医療費のお知らせを基に、医療費の明細書を作成できますので、昔は、何だったのだろうと思ってしまいますね。

源泉徴収票も、昔はコピーはダメ!原本を付けろと、指導してましたし・・。



マイナンバーや登記の電子化により、更に簡素化された


私の認識不足は、まだまだありました。

住宅ローン控除について、昔は、登記簿謄本(現在の登記事項証明書)を添付要件としていましたが、現在は、

・ 登記事項証明書の写しでも可能

更に、

・ 不動産番号の記載

のみでもOKになってます。


この「不動産番号」は、登記情報の電子化により導入されたもので、ネットで調べてみると、

不動産番号とは、不動産を区別するための番号です。不動産の登記を行う際には、不動産の所在地や構造などを細かく記載しなければならず面倒です。しかし、不動産番号を使用することで手続きが簡略化します。

不動産番号は、登記簿謄本をその不動産を管轄する法務局で取得すれば記載されているうえ、法務局で確認することも可能です。また、法務局のHPから閲覧することも可能です。


なるほど、法務局のHPから閲覧することが可能⇒税務署でも確認できるわけで、わざわざ登記事項証明書を添付させる必要が無くなったわけですね!



あと、土地等の譲渡所得について、「居住用用財産の特例」というのがあります。

譲渡した物件が居住用財産である場合は3千万円の控除が認められるわけですが、居住用の家を売ったことを確認するため、昔は、「住民票の除票」を添付要件としていました。

しかし、現在では、マイナンバー(個人番号)が導入され、申告者の住所等が検索できるようになったので、住民票の除票は不要になったものと思われます。



「確定申告書等作成コーナー」の進化により、電話相談は苦労・・


以前のブログに記載しましたが、「確定申告書等作成コーナー」は3年前からスマホ対応となり、年々、利用範囲が拡大されています。

今回は、上場株式等の譲渡・配当について、「特定口座年間取引書」の入力ができるようになったのが大きな変更点ではないでしょうか。


私が従事した「確定申告コールセンター」にも、その操作方法についての電話がジャンジャン架かってきました。

この特定口座年間取引書については、証券会社によって微妙に様式が異なっていて、電話を架けてきた人は、「取引書のココの部分は、どうやって入力するのか?」と質問してくるのですが、電話を受けた側にとっては、その様式を見ることができません。

なので、一般的な操作方法を説明するのですが、相手は、「わからん、わからん」となりますし、こちらも「わからん、わからん」となり、らちが明かないことがしばしば・・。

挙句、

当方「申し訳ないですが、税務署に行って相談いただけませんか」

先方「税務署に行きたないから、電話しとるんや!」


作成コーナーの機能拡充により、結構年配の方も利用いただけるようになりましたが、操作方法について電話でお答えするのは、非常に難しいと感じました。

では、ZOOMを使えば良いではないかとの意見もあるかもしれませんが、それで全て解消するとは思われません。やはり、税務署等の相談会場で、面談による指導が一番良いと思われます。



国税経験者からひと言


納税協会の税務支援では、消費税の本則課税の申告書も作成しました。当然、「確定申告書等作成コーナー」で。とても便利ですね。

って、実は、私が国税庁にいた時、消費税のシステムを開発しました。自画自賛(笑)


今回、久しぶりに税務相談を経験させていただき、税務手続きの簡素化を実感!

やはり、オンライン化やマイナンバーの導入等により、申告される方が、そのメリットを享受できるよう納税環境も整備されてきたのだなぁ~と。


今後、電子取引データの義務化やインボイスが導入され、手続きが複雑化するとの危惧を抱いている方が多いですが、ぜひ、ICT等を活用して、手続きの効率化や簡素化に取り組んでいただきたいと思います。