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★贈与税が改正されて、増税になる⁉

こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。

11月も月末で、師走が近づいてきました。年賀状も書かないと。ちょっと焦ってきました。

そして、12月には、来年度の税制改正大綱が発表されます。

毎 年、税制改正が行われますが、昔に比べると年々複雑になっており、税理士も勉強しないと付いていけません。。。


さて、今回は、贈与税の「節税」についてお話したいと思います。脱税ではございません!



贈与税ってどんな税?


相続税を補完する税。高い税率を掛けて、できるだけ相続時に税金を払ってもらおうと誘導する税と言えるかもしれません。

ただ、相続税よりも高い税率と言っても、110万円の「基礎控除」があります。

したがって、毎年、110万円ずつ贈与すれば、無税で、配偶者や子供に贈与することができます。

(具体的な事例)

子供が4人いたとします。その子供たちに、10年間、毎年110万円ずつ贈与すると、贈与合計は4400万円になりますが、贈与税は無税となります。

20年間なら8800万円チリも積もれば山となりますね!


この方法を「暦年贈与(課税)」と言い、平成30年における贈与申告のうち、37万人の方が暦年贈与を行っていると言われています。

一方で、もう一つの制度として「相続時精算課税」というのがありますが、こちらの方は、毎年4万人程度の方が利用。それほど利用者が増加していない状況にあります。



令和3年税制改正大綱を見てみると・・


去年の12月に発表された「税制改正大綱」に、その暦年課税を見直すような記載が!!


「資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討」

⇒ わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。

(中略)

相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。


なかなか難しい記載ですが、ここから読み取れるのは、

・ 富裕層に対する課税強化

・ 相続時精算課税の利用促進

・ 暦年課税の見直し



贈与税の改正で暦年課税が廃止⁉


この税制改正大綱で発表された内容が、ネットでも話題になっています。

どんな改正になるか推測する記事を見ると、

・ 暦年贈与税制を廃止し、贈与はすべて相続時精算課税とする。贈与時は税金がかからない、もしくは少なくし、相続時にすべての贈与を含めて課税する。

・ 暦年課税制度を見直し、相続前の贈与の加算期間を現状の3年前から、5年前or10 年前にor15年前に変更する。これにより、暦年贈与の利用の制限をし、資産移転の時期を中立的にしながら資産の再分配機能を強化する。


ということで、この12月に「令和4年税制改正大綱」が発表されますが、もし上記のような見直しが行われたら、暦年贈与による「節税」のメリットは無くなることになります。

今後の動向に注視していきたいと思います。



国税経験者から一言


先日の衆議院選挙では、与野党とも「所得の再分配」を公約に掲げていました。

アベノミクスで富裕層と貧困層の二極化が進んだと・・。

私的には、「なぜ富裕層を悪者にするのか?」との思いがあるのですが、今後、やはり富裕層に対する課税強化は行われていく可能性は高いと予想されます。

国税局においても、富裕層プロジェクトチームを作って、国内だけでなく海外の保有資産に着目した調査等を推進しています。

富裕層の方は、相続や事業承継で困らないように、早めに対策を練っておくことが肝心だと思います。