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こんにちは、大阪南船場の「お節介」税理士@野口たかしです。
以前、ある先輩から、大手会計システム会社が主催する研修会の講師をやらないか?とのオファーをいただき、企画書を提出。
昨日、その会社の担当者がご来訪され、企画書に基づいてプレゼンしたところ、お陰様で、研修講師の内定をいただくこととなりました。
税理士事務所を開業して3か月弱。小さなことからコツコツと頑張っていきたいと思っております。
さて、本日は、今話題の⁉「電子帳簿等保存法」について、皆様の誤解を解きたいと思います。
電子帳簿保存法は、令和4年1月1日からの適用。もうすぐなので、準備を急がれている方も多いかと思いますが、ちょっと気になる記事を発見。
あるブログに、以下の内容が掲載されてました。
↓
「電子帳簿保存法に違反するということは、正規の簿記に従わない記帳とみなされ、青色申告が取り消されることになります」
【上記記事に対するコメント】
1 電子帳簿保存法と一般的に言われてますが、「電子帳簿等保存法」の方が適切かと。
「等」が付いているのは、電子帳簿だけではなく、三つの保存が規定されているからです。
⓵ 電子帳簿の保存
⓶ スキャナによる保存
⓷ 電子取引データの保存
2 上記⓵~⓷に違反すると罰せられるわけではありません。
⓵と⓶
・ 任意(やってもやらなくてもよい
・ 適用すれば青色申告特別控除等について優遇措置はあります
⓷
・ 義務化されています
・ 電子取引をデータで保存しなければ、違反となります。
したがって、「電子帳簿等保存法に違反すると罰せられる」という表現だと、任意である⓵や⓶に抵触しても罰せられるとの誤解を招きかねません。
また、その記事では、「正規の簿記に従わない記帳」と書かれていますが、「正規の簿記」と、「電子取引データの保存」とは、直接的な関連性はありません!
こちらが、今、ツイッター等で話題になっている部分です。
国税庁が公表した「一問一答」には、
「電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできません。
したがって、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます」
と記載されています。
えぇ~って感じです。ツイッターにも、様々な意見が。
・ あと2か月しかなく準備が間に合わない
・ 面倒だから、すべて紙に戻そう
・ ちゃんと記帳しているのに、取引データを電子的に保存していないだけで青色取消しって厳しすぎる
などなど。
ちょっと現場を無視した「義務化」ではないかと・・。
でも、ご安心ください!
先日、国税庁の一問一答が追加(訂正?)されました。
【補足説明】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。
これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。
納税者や税理士から、相当数の問い合わせが国税庁にあったようです。
ただ、義務化って何?ちょっと「なし崩し」的な感じもいたしますが、これでひとまず現場の混乱は収まりそうです。
法律を作っているのは財務省主税局で、法律を作る前には、関係省庁とヒアリングを行っています。
私が国税庁にいたときは、e-Tax(電子申告)普及のため、電子申告控除制度の創設に携わり、国税庁は現場の代表として意見を述べさせていただきました。
机上の理論だけでなく、やはり現場の意見を踏まえた上で法律改正しないと、今回のような混乱を招くことになるかと・・。
ただ、電子帳簿等保存法は、今後の業務の効率化に資する法律だと思っていますので、これからも使いやすい法律に改正されることを祈念する次第です。